「働き方改革」という言葉はあまり好きではないものの、このような提案をしたとしても「サラリーマンたるもの、定時は厳守すべし! いつ、なんどきお客様から突然の依頼があるか分からないではないか!」みたいなことを言われる時代ではない。それは冒頭で挙げたように上司が部下に気を遣う傾向が出てきたからである。
だからこそ、「今日早く帰るのは来たる怒涛の木曜日に備えてのもの」のような考えで暇な月曜日があったら帰るようにする。キチンと成果をあげていればこのような考え方は許されてもいい。
忙しくてヤバい時は言ってくれ
こういった働き方をする場合、もっとも効果が発揮されるのが「2人で1チーム」という働き方だ。これは私と弊社のY嬢の状況であるが、互いに労働の負荷状況を把握しあっておき、毎度の成果が見えていれば適切な時間の労働が達成される。
互いに決めていることは「忙しくてヤバい時は言ってくれ」ということだ。また、暇なときは「オレ、今暇だけどなんかやることある?」と言ったりすることもある。10人の部下がいるような管理職にしても、2人×5チームを作っておけばその2人が時間を融通し合ってどちらかが過剰に忙しいという状態は回避できるようになる。
この時は同程度の仕事の処理速度を持つ2人ずつを組ませるといい。2人チームの場合、どちらかが不公平感を持ったら崩壊してしまうのだ。2人ずつのチーム制にすることにより、互いが相手の時間のマネジメントをするようになり、冒頭の「働き方改革により疲弊する上司」の労働時間も恐らく短くなるだろう。
不思議なもので3人にすると途端に風紀が乱れるというか、弛緩してしまう。一人が猛烈に忙しい状態の中、自分が暇な場合、もう一人暇なメンバーがいたらなんとなく安心して、その忙しい人を手伝おうとしなくなるのだ。この安心する気持ちに加え、「この仕事は〇〇さんの方が向いているからな」と互いに配慮し合い、結局手助けをしなくなったりする。メンバーがもう一人しかいない場合は、このような牽制はなくなり、手を差し伸べるようになる。
現在私の会社は設立から11年目を迎えたが、一切従業員を増やしてこなかった。それはこの「2人チーム」を守り続けたからだ。多分この考え方はどんなに大きな組織であろうとも適用可能ではないかと思っている。
【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら