社長を目指す方程式

目標達成できる人・できない人の違い ゴールを追うだけでは二流? (1/2ページ)

井上和幸
井上和幸

 《今回の社長を目指す法則・方程式:キャロル・ドゥエック「達成目標理論」、クレペリン「作業興奮」》

 明けましておめでとうございます、経営者JPの井上です。本年も当コラムをお楽しみ頂ければ幸いです。さて、2020年がスタートしました。皆さんも新年の目標を掲げられたのではないでしょうか。気持ちも新たに「よし、今年はこれをやるぞ!」。ところが、のっけから出鼻を挫くようなお話で大変恐縮なのですが、一説には、新年に掲げた目標を覚えている人は1カ月後には、はや7割(3割が脱落…)、3カ月後には5割以下となってしまうとか。せっかく掲げた新年の計、やり遂げたいですよね。そこで今回は、達成に向けて行動できる人とできない人の違いは何かについて、見てみたいと思います。

 達成目標には「業績目標」と「学習目標」がある

 そもそも、達成のための理論や科学などというものがあるのでしょうか? 答えは…あるのです。心理学者のキャロル・ドゥエック教授が「達成目標理論」というものを提唱しています。女性教授でスタンフォード大学ルイスアンドバージニアイートン校、それ以前にはコロンビア大学、ハーバード大学、イリノイ大学で教鞭を執り、全米心理学協会フェローでいらっしゃる、現在70代の方とのこと。

 「達成目標理論」によれば、達成目標には「業績目標」と「学習目標」があります。「業績目標」とは、達成するゴールの目標そのものを指します。この業績目標を重視する人は、良い成績をとることで競争に勝つこと、社会的な評価や報酬を得ることを自分自身の目的にします。自分の能力を肯定的に評価されたい、否定的な評価を逃れたいという気持ちが強いのが、業績目標を重視する人の特徴です。

 一方、「学習目標」とは、何かを学ぶこと自体を目標とします。学習目標を持つ人は、学習によって自分の知識を増やし、技能や見識を高めることそのものを自分自身の重要目標と捉えます。勉強することそのものが楽しくて仕方がなく、いつも勉強ばかりしてしまう人はこれに当てはまります。

 達成し続ける人は「学習目標」を持つ人

 さて、ドゥエック氏他の調査によれば、仕事のできる人、物事を達成する人は「業績目標」ではなく「学習目標」を持つ人だということが証明されているとのこと。どうでしょう? 一般的に、特に仕事においては業績目標を設けており(会社に設定されており)、そこに目を向けている人がほとんどではないでしょうか。そして学習目標を持っていない人は、案外多いと思います。いかがでしょう?

 私見ですが、成功する人、トップになるような人は、<「業績目標」だけでなく、「学習目標」も合わせて持っている人>だと認識しています。貪欲な業績達成欲がない人が成果を出すとはやはり思えず、ただそれだけの人は<燃え尽き症候群>になっていることも私も少なからず目の当たりにしてきました。

 中長期的に成長し続ける人は、多く学ぶ人であることもとても腑に落ちます。年齢を重ねても好奇心が尽きず、絶えず新しいチャレンジや、自分なりのライフワーク学習テーマをお持ちなのが成功されている経営者の方々の共通項ですが、「達成目標理論」はそれを裏付けていると感じます。

 さて、では、あなたの「2020年の計」はどちらでしょう? もし「業績目標」的なものだけであれば、「学習目標」的な2020年のテーマを決めてみましょう。

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