その時の諦めの気持ちとしては「外資だからしょうがないよね…」というものがある。どこかで日本企業はキチンと対応してくれる、という期待があるからこそ日系企業は「お客様のために」と余計な電話対応窓口を作ってしまう。
客よりも従業員
私の持論ではあるが、会社で最も大事なものは客よりも従業員だと思う。さすがにBtoBで何十億円もの売り上げがある法人顧客は別だが、せいぜい数百円~数千円しか使わないような客、ないしは客でもなんでもない個人を不快にさせることよりも、一人の従業員がそうした相手の対応のために神経をすり減らし、うつ病になったり退職に至る方がダメージは大きい。一人の個人客を失うことは「どうでもいい」と割り切り、従業員を守る方が合理的である。そのために「電話対応やめました」という宣言を各社してはいかがだろうか。
いや、完全に電話対応窓口をやめられない場合もあるだろう。それは「健康被害」「不良品対応」「超優良顧客」の3つになると思うが、最初2つについては、用件を聞いた後に「それは当窓口では対応しかねます」と言うだけで切る。
だが、これらにしても問い合わせフォームだけでなんとかなる。その専用フォームを作り、症状や不良状態を具体的に書いてもらう。フルネームと電話番号も書いてもらう。その段階で単なる誹謗中傷や意味不明のクレームだった場合は無視。「これは本当にマズい…」というものだけに対して電話をするという対応でいいのだ。「超優良顧客」の場合は、予め登録制度にしておき、ID・パスワードを入力したうえで問い合わせフォームに進めるようにする。
とにかくこれだけ精神を病む従業員が多いのと、クレーマーがつけあがる社会というものは、クレーマーであろうとも「お客様」扱いして甘やかしていたことが原因である。「カネを払わないヤツは不要」というスタンスに企業はもっとなっていいし、客でもなんでもない暇人の相手はしないでいい。社会全体がその雰囲気になれば、「お前の会社から無視されたことをネットに書くぞ!」と脅されても「どうぞどうぞ」となる。それでいい。ただのクレーマーは経営上の邪魔な存在なだけだ。
【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら