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自治体で先行氷河期採用 枠は少数…正規雇用増への効果は不透明

 就職氷河期世代を積極的に中途採用する動きは、国に先行する形で自治体に広がりつつある。民間企業の手本になるよう、国も各自治体に年齢などの採用要件拡大を求めているが、採用人数は少なく、3年間で正規雇用を30万人増やす政府目標の達成は不透明だ。

 今年8月、兵庫県宝塚市は、氷河期世代の36~45歳を対象に、正規職員を募集した。1635人が受験して最終的に4人が内定、倍率は400倍を超えた。内定者は全員40代で、長く非正規雇用で働くことを余儀なくされた人ばかりだった。

 宝塚市がこうした採用に踏み切った背景には、将来的な市の財政悪化への懸念がある。氷河期世代が非正規雇用や引きこもりの状態のまま高齢化し、生活保護を受給した場合、社会保障費が増大する。担当者は「市が率先して雇用することで、民間企業での採用も進んでほしい」と話す。

 総務省は10月、氷河期世代の採用を視野に、地方自治体に対して受験資格の上限年齢の引き上げや、職務経験を問わない採用試験の実施などを求める通知を出した。愛知、和歌山両県や、茨城県境町などでも既に採用方針を打ち出したり、採用を始めたりしている。

 日本総合研究所の下田裕介主任研究員は「公務員の採用枠は少なく『自分には遠い話だ』と思う当事者もいる。正規雇用への就職支援だけでなく、引きこもりの中高年の自立支援といった対策にも力を入れていくべきだ」と指摘する。

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