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人前の「寝落ち」許す日本文化は危険 外国人が驚く習慣の寛容度 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 日本において講演会などで話をしていると、こっくりこっくりと船をこいでいる人を見かけることがある。言うまでもなく、こちらとしては、とても不愉快である。ただ、日本では、そういう「習慣に寛容」であるのを百も承知しているので、その人を努めて見ないで話を続けることにしている。

 だが、その「習慣の寛容度」を知らない外国人にスピーチを頼んで、そういうシーンに立ち会うと冷や汗ものだ。椅子からずり落ちそうな聴衆がセッションの最前列にいたりすると、「聞かないなら出ていけ!」と、会場から叩き出したい思いにかられる。

 日本のサラリーマンは通勤で疲れているから所かまわずに寝るとも言うが、果たして疲れだろうか? 

 先月、外国から日本にやってきた参加者たちと参加するミーティングが何日もあった。彼らは「今朝は時差で午前3時に目が覚めてからそのまま寝られなかったから、午後はひたすら眠かった」と何度もぼやいていたが、一人としてミーティング中に寝落ちすることはなかった。

 人前で眠るのは背徳行為であるとの意識が徹底しているのである。日本では人の話を聞きながら寝るのが、そこまで「悪いこと」になっていないから、平気で寝るわけである。

 日本の人は人前で控えめな態度をとりがちで、自分の意見もあまり言わない。それなのに堂々と寝る。このギャップに外国人は驚き、日本の人はそのギャップに気がつかない。

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