かつて「クリエイティブ」な世界に憧れ、大手広告代理店を志望していた私が今、ハマっているドラマがある。MBS/TBSでドラマ化されたクリエイターたちの群像劇『左利きのエレン』である。自分の才能の限界を感じつつも夢を追いかける大手広告代理店のデザイナー・朝倉光一と、圧倒的な芸術的才能にめぐまれながらも、天才ゆえの苦悩と孤独を抱えるNY在住アーチスト・山岸エレンを中心に描かれる物語。本作のキャッチコピーは「天才になれなかった全ての人へ」である。クリエイティブな世界で、コンプレックスとプライドの間でもがく青春ドラマである。
この作品自体が、シンデレラストーリーそのものである。2016年3月から、著者かっぴーによる連載がcakesにてスタート。その後、2017年10月からは『少年ジャンプ+』にて、nifuniの画によるリメイク版が連載されている。話題作となり、今回のドラマ化にいたった。このドラマ公開の時期に合わせて、作品とゆかりのある横浜にて展示会も開催されることになった。作者にとっては、夢のような展開ではないか。
一物書きとしては、才能の発掘の場がウェブになっていること、新たな才能がどんどんデビューしていることを再確認するとともに、少しだけジェラシーも感じた。ちょうど久々に会う先輩から「お前はどうして、小説を書かないのか?そろそろやりたいことをやれよ」と忠告された後だったからだ。書き手として、ハートに火がついた出来事だった。
「やりたいことはこれじゃない」と悶々
この作品の中での、私のお気に入りのキャラクターは、大手広告代理店の営業担当の流川俊である。もともとコピーライター志望だが、営業配属に。配属後も、仕事の合間をぬってコピーライターの修行をすると心に決めていたが、激務のためなかなか進まない。自分が営業として関わった案件がカンヌを受賞するが、そのことを合コンでしゃべったことが社内に広まり、「あれオレ詐欺」とバカにされる…。
このキャラに私が胸を撃ち抜かれたのは、若い頃の自分にそっくりだからだ。そして、就活でよく見かける、根拠のない自信を持っている、まだ何者でもないのにも関わらず、何かをやりたい衝動がある学生そっくりだからだ。さらには、自分がそうであったように、希望外の配属となり「やりたいことはこれじゃない」と悶々としている若者のようだからだ。