全社員リモートワークや本社オフィスの撤廃など管理のない会社経営で成果を上げ、注目を集めるソニックガーデン創業者の倉貫義人さん。前職の大手システム会社で社内ベンチャーを立ち上げた頃は、徹底的に管理するスタイルで効率を求めすぎてチームが崩壊しかけたこともあったという。そんなチームを蘇(よみがえ)らせたのがザッソウ(雑談+相談)なのだそう。アイデアもモチベーションも湧き出すザッソウの使い方とは--。※本稿は、倉貫義人『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』の一部を再編集したものです。
コストゼロ! 「クマる」問題解決法とは?
「ちょっとクマってほしい」
これは私たちのチームでよく聞くセリフです。システム開発の仕事をしていると、技術的な問題で思いがけずハマってしまうことも珍しくありません。
ハマった原因は解決してみると、ちょっとした見落としであったり、しょうもない打ち間違いだったりするのですが、1人で仕事をしているとハマってしまって無駄に長く時間を使ってしまうことがあるのです。こういったことは、おそらくシステム開発以外の仕事でもあると思います。
このようなとき、誰かに相談していたら、なんのアドバイスももらっていないのに自己解決できた、という経験はないでしょうか。1つひとつ相手に説明をしているうちに、自分の中で考えが整理できたり、ハマった原因が見つかったりして解決してしまうのです。
話すだけで問題が解決するテディベア効果
コンピュータの業界ではこういったことが昔からよくあったようで、とある大学のヘルプデスクにはテディベアのぬいぐるみが置いてあって、問題に困った学生にはいったんぬいぐるみに向かって説明させたという話があります。
つまり、相手は誰であってもいいのです。こんな風に自分勝手に話しているうちに自己解決することを「テディベア効果」と呼びます。
このクマのエピソードから私たちは、原因不明の問題にハマったときに「ちょっとクマってほしい」と言って仲間に話しかけるようになりました。相手はクマになったつもりであいづちを打って聞いてあげます。そうすると、大体のことは自己解決することができます。「クマってもらう」、これもザッソウの1つです。
相談は雑なくらいがちょうどいい
ザッソウという言葉には、「雑談と相談の組み合わせ」以外に、「雑に相談する」という意味もあります。
あなたがマネージャだとして、部下やメンバーから相談を受けるとき、どういった状態で相談を受けたいでしょうか。
仕事の進め方で悩んでいるのに、粘りに粘って締め切りギリギリに相談にこられると困ってしまいます。「もっとサクッと相談してくれたら解決したのに……」と言いたくなるのもわかります。
考え抜いてからの相談も、報告みたいな感じになってアドバイスがしにくいものです。品質や出来栄えに妥協はしたくないので、ちゃぶ台返しをすることもありますが、それも心苦しいものです。
一通り考えてみたのであれば、完璧を待ってから相談にくるよりも、雑な感じで相談にくるくらいがちょうどいいのではないでしょうか。