飲食店で食べきれないほどの料理を注文し、大半を残す行為が批判の的になっている。いわゆる「インスタ映(ば)え」に代表されるSNSへの投稿が背景にあったとみられ、過度な客を“出入り禁止”にするなどの自衛策を取る店舗もある。食べ物を粗末にする愚行ともいえるが、飲食業界に詳しい弁護士によると、こうした行為の法的責任を問うことは難しいという。なぜなのか。(森西勇太、矢田幸己)
「写真映えのために無駄にしないで」
〈お金を払ったらインスタ映えの為に料理を大量に残しても構わないと思っている方々は御遠慮下さい〉
8月16日、大阪市中央区のジビエ料理店の店主がツイッターを更新し、一部の客への出入り禁止を明言。大きな反響を呼んだ。
ジビエ料理は、シカやイノシシ、カモなどをはじめとした野生鳥獣の肉を使用した料理。牛や豚といった一般的な肉料理とは違う物珍しさもあり、写真共有アプリ「インスタグラム」などで料理を撮影した投稿も少なくない。
店主などによると、来店したのは男女3人組の客で、5人前の盛り合わせの料理を注文。さらに、盛り合わせに含まれる同じメニューを追加で注文した。3人はスマートフォンで料理を撮影するなどしたが、ほとんどを食べることなく退店したという。
店主は、写真撮影やSNSへの投稿が悪いことではないとした上で〈写真映えの為に料理を無駄にしないで欲しいという小さな個人店の店主の願いです〉とつづり、〈お金を払っているから勝手だと思う方には、当店のご利用はご遠慮頂くしかありません〉などと胸の内を明かした。