ニュースを疑え

人口減は「希望」脱成長社会への転換 京都大学教授に聞く (4/4ページ)

 --なかなか難しい意識改革ですね

 「たしかにそうですが、令和の時代は人口減少社会にどう向きあうかが最大のテーマです。昭和は人口や経済が拡大を続けた時代でした。平成は人口減少に転じたが成長路線から抜けきれず、現実とのギャップが広がった。近年に企業による不正の隠蔽(いんぺい)など不祥事が続出したのは、構造的な矛盾も原因でしょう」

 「経済成長に問題解決を委ねた昭和的な発想では、もう立ちゆかない。着陸の時代の発想は江戸時代にも学べます。たとえば近江商人には、『売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし』という思想があった。利益の最大化だけを求めず、経済と倫理を両立させる思想です。私たちが向かうのは全く未知の世界ではない。ある種の先祖返り、懐かしい未来という言い方もできるでしょう」

【プロフィル】 広井良典 1961年4月、岡山市生まれ。東京大教養学部卒、同大学院総合文化研究科修士課程修了。厚生省(現厚生労働省)、千葉大教授などを経て2016年から京都大こころの未来研究センター教授。専門は公共政策と科学哲学。医療や社会保障、地域再生に関する政策研究を行う。著書に「コミュニティを問いなおす」「ポスト資本主義」「人口減少社会のデザイン」など。

【ニュースを疑え】「教科書を信じない」「自分の頭で考える」。ノーベル賞受賞者はそう語ります。ではニュースから真実を見極めるにはどうすればいいか。「疑い」をキーワードに各界の論客に時事問題を独自の視点で斬ってもらい、考えるヒントを探る企画です。

Recommend

Latest News

Line Up

Pick Up News

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus

Column

Close Up