働き方

一流のリーダーが「若い頃の失敗」を語る理由は、職場を地雷原にしないため (1/4ページ)

 管理職として、部下に頼られるためには何が必要か。リーダー研修の講師を多く務める伊庭正康氏は、「真面目でキッチリしているだけでは、部下との距離は縮まらない。あえて弱みを見せることが重要だ」という。その理由とは――。※本稿は、伊庭正康『できるリーダーは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再構成したものです。

 「背中を見て覚えよ」は職場を地雷原にする

 先日、名古屋の駅前で入った食堂でのこと。「オレの背中を見て覚えろ」と言わんばかりに、部下のことはそっちのけで、テキパキと動く店長が厨房を仕切っていました。その姿は、まるで早回しのよう。

 実際、店長がテキパキ動く後ろに、動いているバイトもいれば、ただ立っているだけのバイトもいました。

 「何かをするべきなんだろうけど、勝手にやったら叱られそうだし……」

 あたかも、どこに地雷が埋まっているかわからない……そんな雰囲気。早回し店長は、立っているだけのバイトに言い放ちます。

 「ボサッとしちゃダメよ。お客様、お待ちになっているでしょ」

 バイトは、どうしてよいのかわからず、キョロキョロとします。早回し店長は、間髪入れずに言い放ちます。

 「キョロキョロしても、意味ないよ。今は、何をする時?」

 とりあえず、勇気を出して、皿を移動させようとするバイトの動きを横目でキャッチするや否や、地雷が爆発。

 「そうじゃないでしょ。今は、何をする時?」

 教育のつもりだとは思うのですが、これではバイトは続かないでしょう。上司が、自分のやり方へのこだわりが強すぎ、その上「背中で見て覚えてよ」という態度では部下は恐怖しか感じません。

 この早回し店長ほどでなくても、プレーヤーとして活躍していた人ほど、細かなところが気になるものです。では、どうすればいいのでしょう。

 「スキのないリーダー」が部下のやる気を奪う?

 部下のフルスイングを期待するなら、むしろ「フェアウェイ」の広さを感じさせなければなりません。

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