社会・その他

なぜ停電の長期化を招いたのか 予想以上の風の猛威に「見通し甘かった」

 台風15号による千葉県内の停電は丸3日が経過した12日も解消せず、東京電力によると、完全復旧も見通せていない。停電戸数は1都6県で最大約93万戸に達し関東地方における台風被害としては過去最大級となった。なぜ、ここまで広範囲の停電を招き、長期化しているのか。

 停電の一因は、君津市にある45メートルと57メートルの送電線の鉄塔が倒壊し、電流が遮断されるなどしたこと。このほか各地で多くの電柱が倒れるなどした結果、これほどの規模の停電となった。

 経済産業省が示す「電気設備に関する技術基準」では、送電線の鉄塔は風速40メートルに耐え得るように求められ、2基も基準を満たしていた。ただ、隣接の木更津市で9日午前2時48分に最大瞬間風速49・0メートルを観測するなどしており、東電関係者は「局地的な強風が倒壊を招いたのではないか」とみている。

 台風被害が多い沖縄電力では、より強い風に耐え得る基準を設けており、国が示す基準自体にも課題が残る結果ともいえる。

 発電所と各家庭に電気を届ける変電所をつなぐ中継地点となる鉄塔だが、倒壊で電線が切れるなど機能不全が生じた場合に備え、電力の迂回(うかい)ルートも準備されている。

 それなのに、今回は停電が長引いている。変電所から各家庭に電気を送る電柱設備などが予想以上の被害を受け、迂回ルートも十分に機能しなかったからだという。東電側は目視の点検などで当初は電柱の損傷は80基程度だけとしていたが、実際はより多数に上り、現段階では「集計できていない」としている。

 電柱が損傷した現場に向かう道路も倒木で絶たれているケースもあり、復旧に時間を要している。東電関係者は「変圧器の損傷だけだと思っていたら電柱にひびが見つかるなど作業量が膨らんだ」と説明する。

 今回は同じ地域でも復旧している建物と、していない建物があるというケースも続出。同じ地域内でも、電柱につながる民家や建物単位で復旧していくため、こうした事態が生じるという。

 想定外が重なった結果、復旧は当初の見通しより大幅に遅れたが、東電担当者は甘さを認めた。

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