ビジネストラブル撃退道

従業員のSNS発信が思わぬ「社員テロ」に… 不適切投稿で吹っ飛ぶ商機 (4/4ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 ハイリスク超ローリターン

 さらに問題なのが、影響力の強いテレビの情報番組がネット発の騒動を大々的に取り上げるようになっていることだ。そうなってしまえば、「炎上は数日待てば鎮火する」という従来のセオリーが通用しなくなり、映像がYouTubeに転載されたり、コメンテーターからボロクソに叩かれて立ち直れないほどのダメージを本人もクライアント企業も受けるかもしれない。

 私は常々「宣伝材料がない者はSNSをやってもハイリスク超ローリターン」という考えを持っている。自分の名を広めたいクリエーターにとっては「『自分自身』という宣伝材料はある」という状態である。だが、クライアント企業からすれば「あなたの宣伝をするためにウチの商品を利用しないでほしい」となる。「いや、僕が有名になりフォロワーが増えれば、御社のためになる」という反論もここでは可能だが、「じゃあ、炎上して当社にクレームが殺到した場合はどうしてくれるのですか?」と言われてしまったら反論は難しい。

 結局リスクとリターンを天秤にかけたところ、大手では「やらなければとりあえずは燃えない」という判断をし、従業員に対し規制をかけているのだろう。従業員のSNS使いのポリシーに悩む方、当文章が参考になれば幸いです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

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