社長を目指す方程式

上司を悩ます「できる・できない部下」の扱い方 誰に期待し何を任せるか (4/4ページ)

井上和幸
井上和幸

 この症候群にある人たちは、客観的に見て能力があることは明らかであるにもかかわらず、自分は〈詐欺師〉であり、成功には値しないという考えを持つそうです。たとえ今、自分が何かで成功できていたとしても、それは単なる幸運やタイミングによるものか、あるいは実際より能力があると他人を信じ込ませているだけだと自己認識しています。インポスター症候群は、特に社会的に成功した女性に多いとする研究もあるそうです。

 なぜこうした思考に陥るかというと、

  • 完璧主義
  • 働き過ぎ
  • 自分の成果に対する過小評価
  • 失敗に対する恐れ
  • 賞賛を認めない

 というような思考、行動、性格によるそうで、上司としてはこの辺りの本人の心の内を理解しておいてあげることが、非常に重要です。

 上司としては、部下にとても良いチャンスや役割を与えてあげているという意識がありますから、せっかくのオファーを辞退、断る部下には「なんでせっかくのこのような話を断るんだ!」とキレてしまうことも少なくないかと思います。

 が、ここは感情的にならず、評価や過去実績をしっかり、焦らずにじっくりと再認識させフォローすることで、この「尻込みがちな部下」に、確実性の高い質の高い仕事をさせることができる可能性が、ぐんと高まります。

 感情や性格に引きずられるな

 いかがでしたでしょうか、あなたの部下たちの中にも〈自己過大評価部下〉と〈自己過小評価部下〉の両方が混在している可能性は高いと思います。そして、中段で述べた通り、私たち上司自身にもバイアスがあります。

 部下たちの持つバイアス、自分自身が持っているバイアスを認識した上で、感情面や性格面に引きずられ過ぎた仕事の差配を避ける努力をしましょう。こうした意識と取り組みによってこそ、客観性の高い組織行動形成と、公平な評価・考課を浸透させることができるのです。何かと気働きばかりしなければならず大変ですが(それが上司という仕事だと覚悟しましょう)、粘っただけのリターンがあるのもまた事実。〈自己過大評価部下〉と〈自己過小評価部下〉の仕分け・再評価とコミュニケーション、ぜひ、取り組んでみてください。

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井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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