「反社会的勢力」排除担当は一人だけ
反社会的勢力等の取引排除に向けた管理態勢について、金融庁は「反社会的勢力の取引排除などの担当は1人」と述べ、組織的な対応が不十分だったとの見解を示した。
また、「一部支店長が準暴力団の幹部といわれる親族と取引があったが、反社会的勢力等の管理区分が限定的に運用されていた」と指摘。さらに、監事から反社会的勢力等の関係が疑われるなどの情報提供を受けたが、落合理事長は調査の要請を拒否するなど、内部統制が機能していなかった。
金融庁は、西武信金だけでなく各金融機関に「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」への適合状況の確認、検査を進めている。国際的にFATF(金融活動作業部会Financial Action Task Force)の勧告の中心的な項目で、管理態勢の強化が一段と求められている。
西武信金は責任の所在の明確化として、落合理事長らの辞任を公表。また、業務改善委員会の設置など内部統制の強化、審査担当人員の増加などリスク管理態勢の強化、反社会的勢力等の管理区分の細分化などの対策も合わせて公表した。
「暴力団排除条項」の街頭の有無は
西武信金は、今年3月末時点で全取引先を調査し、「暴力団排除条項」に該当する勢力の融資がなかったという。ただ、監事から情報提供を受けた取引は、「(警察に確認したところ)暴力団員としての属性がないと回答を受けたため暴力団排除条項に該当しないと判断した」としている。
東京商工リサーチは保有する国内最大級の企業データベースを活用し、西武信金と取引実績のある企業を調査した。