中小企業へのエール

シリコンバレーベンチャー 目を見張る創業者の行動力 (2/2ページ)

 そして、私に「でも住まいは、とっても大事。豪華な住まいは全く必要ない。日本人の若き創業者と同じような質素で、便利で、安全で、快適な住まいを用意してくれ。その代わりに自分の車のキーを君に贈りたい」と言って、鍵を差し出してくれた。私も少し酔っていたせいか、もうびっくり。

 その車は、米テスラ・モーターズの最高級車で公道での自動運転可能なスーパーカーだった。後で気づいたが、この車は全てスマートフォンで操作が可能で、鍵は必ずしも必要ではない。しかも車がある場所はシリコンバレー。いったい彼は、何人に鍵を渡しているのかしらとも思ったが、非常に印象的な出会いだった。

 スピード、人間関係、信頼、ジョークなど新たなビジネスを起こすときに必要な要素だ。日本の中小企業にも共通する要素ではないか。今もあるもの、失われつつあるものそれぞれだなと実感した。

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。環境省特別参与。56歳。

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