外国人に活路も不透明
総務省が今月公表した2018年10月1日時点の人口推計で、働き手の中心となる15~64歳の総人口に占める割合が過去最低水準の59.7%となり、大都市、地方を問わず人手不足が深刻さを増している。各自治体は人材確保の取り組みを活発化させるが、若者らの流出が続く地域では手詰まり感も見える。4月に新制度が始まった外国人労働者の受け入れに活路を見いだす試みもあるが、即戦力としてどれほど期待できるかは見通せない。
◆自治体取り組み活発
人口減少率が全国最高の1.47%だった秋田県。地元シンクタンクの秋田経済研究所が県内約300社に実施したアンケートでは、経営課題として56.1%が「人材不足」を挙げた。特に主要産業である電子部品製造業や衣服縫製業などの人材難が目立ち、同研究所は「職種や賃金水準で、求人と求職の条件が合っていない」と分析する。
秋田県は同県の出身者を首都圏から呼び戻そうと、東京都内の事務所に就業・移住の相談員7人を配置。「Aターン」と名付けた既卒者の就職支援事業で年間約1000人の就業を仲介している。しかし担当者は「毎年、数千人の高卒者が進学を機に県外へ出ている。とても追いつかない」と危機感を募らせる。
全国の移住希望者らにアピールするため、インターネットによる求人情報の発信などに力を入れる自治体もある。
愛媛県は求人情報と移住支援の総合サイト「あのこの愛媛」を17年度に開設。県内の求人情報1万7000件を集約し、同年10月から1年間で2500件の仲介実績を積み上げた。19年度は民間の大手求人サイトにも求人情報を提供する予定で「データを蓄積して、新たな施策につなげたい」(総合政策課)。
ただ景気回復の影響で東京など大都市でも人手不足が続いており、都市部と地方で人材の奪い合いになっているとの指摘もある。ある県の関係者は「待遇の良い企業が集まる都市部に、若者が吸い取られている」とこぼした。
政府は人手不足の解消に向け、4月に外国人就労を拡大する新制度をスタート。介護や農業、建設など14業種で最大34万5000人の受け入れを見込む。14日には、日本在留の資格を得てホテルや旅館で働きたいと希望する外国人を対象に初の特定技能試験が実施され、人手不足に悩む宿泊業界は歓迎する。だが、地方でも人材を確保できるか不安を抱える。