CAのここだけの話

同僚に人気のCAとは? 業界内の転職経験者が語る「外資系CAにもっとも必要な素質」

 SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第114回はアメリカ系航空会社で乗務3年目の美樹サンティアーゴがお送りいたします。

アメリカ系航空会社で日本人CAとして働く美樹サンティアーゴさん。提供:本人
大好きな、東アフリカのセイシェル諸島にて。提供:執筆者
スイスのジュネーブ、国連事務局の前にて撮影。アメリカ・ニューヨークの国連本部に次いで2番目に大きい事務所があるのです。提供:執筆者

 中東系の航空会社では客室乗務員募も始まってきましたね。今回は外資系CAに向いている人の特徴や性格を紹介したいと思います! 日系の企業とは社風が一味異なりますし、人間関係はオープンです。もし読者のみなさんの中に外資系CAを志望する人がいらっしゃったら、ご自身がいくつ当てはまるか考えながら一読してみてください!

年功序列より実力主義を好む人

 海外では歳や役職に関係なく、仕事で成果を上げた人が昇格していくまさに実力主義のほうが一般的です。私が働いている外資系航空会社もフライト中に行われるアセスメント(評価)や実技テストでの合格、またお客様からの良いフィードバックをもとに頂く推薦がないとビジネスクラスやチーフパーサー(客室全体を統括する責任者)には昇格できません。長く働いているから、このポジションでの経験が長いからという理由は十分ではないのです。

 実際に私の同僚も、エコノミークラスで働いて2年未満でしたが、お客様からの称賛や感謝の言葉を頂くことが多く、スピード昇格をしていました。

情報集めが得意な人

 日本を飛び出して海外で生活していく人は情報収集に長けています。それは何か起こっても自分で解決しないといけないからです。また、外資系CAに就職するまでにも、自分でリサーチしたり、経験者に自ら聞かないとわからないことが多いのです。必然的に、情報収集能力が鍛えられるといってもいいでしょう。

 クルー同士での“フライト交換”の際にも自分で情報を集めることが必要になります。休暇の調整をしたいとき、行きたいフライト先があるとき、「この日にこの行き先のフライトが入っていたらなぁ~」と思ったとき…そういうときは周りの同僚や後輩先輩に声を掛けてスイッチできる人を見つけるわけです。

 CAの場合、一般的にシフト表といわれるようなものがありません。乗務スケジュールは個人管理となり同じ社内であってもお互いのフライトスケジュールはわからないのです。

 どこの路線が良かった、このホテルの朝食ビュッフェが美味しかったなど、このような話題を持っているクルーはフライト中も大人気です。

心に余裕がある人

 私が実際に海外で働くことになって一番重要な素質であると実感したのが、トラブルが起こってもイライラせず冷静に対応できる人です。簡単に言うと【心に余裕がある人】です。

 外資系の会社に勤めるということは例外を除いて、海外で生活するということでもあります。携帯電話の手続きや銀行の手続きなど、日本では全てスムーズに問題なく出来ることが当たり前ですが、海外ではそうはいきません。店舗の営業時間も短かったり、スタッフが親切丁寧でないことも。もちろんこのようなことを全てその国の言語で行うので言語の壁もありますよね。

 そのような時にイライラせず、楽観的に“今日は解決しなかったけどまた明日来よう”と思えれば何倍も心の持ち用が楽になりストレスになることもありません。

 勤務中も同様です。

 私が以前中東系の航空会社でCAとして勤務している時のことです。ちょっとした機械トラブルでフライトがキャンセルになり、翌日から取得予定だった有給休暇がずれ、予約していたフライトに間に合わなくなるということがありました。

 一緒に乗務していた他のクルーにも同じような状況の人がたくさんいましたが、みんな「仕方ない、ホテルステイをもう一泊楽しもう!」という心持ちの人がほとんどで、不平不満を言う人は一人もいませんでした。このようなクルーのお陰で私もイライラすることが少なくなり、そのフライトを楽しむことができました。

日常生活で議論することが好きな人

 日常生活で議論することが好きな人も、外資系CAに向いていると思います。海外では、自分の意見がある=自分を持っていると捉えられるからです。

 仕事内だけでなくちょっとした会話でも海外ではよく議論している光景を目にします。議論するというと何だか悪いイメージを持つ人もいると思いますが、これはただお互いに意見を言い合っているのではなく違う考えも取り入れようとしているのです。

 外資系の会社では、「こうしたほうがもっと良くなるのではないか」という提案は大歓迎されます。勤務中だけではなくレイオーバー(就航地に宿泊することあるいは宿泊を伴う乗務)でクルー同士で街に出かける際にも、上下関係なくみんな「ここに行きたい!」「このレストランで食べたい!」など自分の希望をはっきり伝えます。ただ上司について行くのではなく、行きたい場所をパイロットやチーフパーサーに伝えるのが日常茶飯事です(笑)

 ご紹介したように、日系と外資系では、CAに求められるものが真逆だったりします。CAを志望される方はいくつ当てはまったでしょうか?

大学卒業後、新卒採用で客室乗務員に。中東の航空会社で2年乗務した後、現在はアメリカ系航空会社に勤務しながらフリーランスで通訳・翻訳 / ライターとしても活動中。バリスタの資格も持っており、世界を飛び回りながら各国の美味しいコーヒーを飲むのが趣味。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら