CAのここだけの話

CAが本当にかけられたい労いの言葉4選 共感は「好き」の感情を呼び起こす?

新田祐子

 SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第103回は、アジア系航空会社で乗務5年目の新田祐子がお送りいたします。

アジア系航空会社に勤める新田祐子さん。写真は、念願だったエジプトのピラミッドを訪れたとき。提供:本人
フライト先のオーストラリアでカンガルーとお昼寝。提供:執筆者
香港をチャイナドレスで観光。提供:執筆者
ペルー・マチュピチュにて瞑想中。提供:執筆者

実は大変なことが多いCAの仕事

 CA(客室乗務員)と聞いて、皆様どのようなイメージを持たれるでしょうか? 「華やか」「楽しそう」「少し敷居が高いイメージ」「帰国子女!?」など、様々なイメージがあるかもしれませんね。

日本では優雅なイメージを持たれがちなCAの仕事ですが、実は見えないところで努力もしているし、大変なこともあるんです。いわば、水面を泳ぐ白鳥のよう。水面下では必死に動いているのです(笑)

 今回はそんなCAの“見えにくい裏側”をご紹介しつつ、CAとのデートの時に、あるいはCAとして働くお友達・ご家族に伝えたら喜ばれる労いの言葉を4つ紹介します。私の独断と偏見によるものですので、その点はご了承くださいね(笑)

体調管理編 ストレスを抱えたCAに刺さるひと言

 国内なのか、国外なのか、目的地によっても異なりますが、CAのスケジュールは非常に不規則なこともあります。また、時差や寒暖の差の影響をダイレクトに受けるので、体調管理に気を使っている人も多いです。

生活スケジュールが周りと合わなかったり、一緒に住んでいる人と合わないことは、実は結構気を使ったりするものなんです。また夜中に離陸するフライトの場合、「夕方に就寝して夜起きる」「10時間以上のフライトの後、就航地に着いても時差がありなかなか寝付けない」という話も聞きます。睡眠は人間の三大欲求のひとつですから、これもなかなかのストレスになり得ます。

 そんなストレスを溜めているCAの彼/彼女には「色々な国に行けて、面白い仕事だよね。でも、体調管理などが大変なのでは? 身体に気をつけてね!」と声をかけてみてあげてはいかがでしょうか? 声をかけてもらったCAは、「苦労をわかってくれてる!」と、癒された気持ちになり、ストレスが軽減されるでしょう。

CAのお仕事~機内編 見えない気配りを労う 

 機内でCAは主に、お客様が快適に安全に過ごしていただけるようお手伝いしています。そのためには、お食事やお飲みものの準備をしたり、機内環境を整えたり。長いフライトの間は何をしているの? と聞かれることも多いのですが、お食事などのサービスが終わった後も、軽食の準備やお手洗いの清掃、具合の悪いお客様はいないかなど、お客様の目に見えないように気を配るところはたくさんあります。

 また、機内では力仕事をすることも多いのです。このコロナ禍の影響でしばらくぶりの乗務に就いた際、私は腕が筋肉痛になってしまったほどです(笑)情けない話ですが…。普段は気が付きませんでしたが、乗務では日常的に、そのくらい力を使っているんだと驚きました。

 そんな仕事をこなすCAの彼/彼女にはこんなひと言をかけてあげましょう。

  • 「サービス後も見えないところで色々な気配りをしているんだね。力仕事もあるだろうし、本当の意味で縁の下の力持ちだね」

 間違っても、「CAって何してるの? 楽な仕事だよね!」なーんて言わないでくださいね(笑)

CAのお仕事~機外編 「羨ましい!」はNG

 フライトが始まるまで、CAは何をしているの? と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。CAの仕事は機内だけではないのです。

 フライトには時に1時間足らずの短いものもあります。「えー、今日の仕事1時間だけなの? 羨ましい!」などという声掛けはNO! NO! NO! そんなことはないのです。

フライト前には、お客様の快適と安全を確保するための社内ミーティングがあり、情報を共有したり、安全面を徹底するために、簡単な口頭試問やテストを受けるのです。テストは毎回です!

 安全面は、機内の設備や怪我や病気の応急処置など多岐に渡るので、もちろん入社したては覚えているのもなかなか難しいことがあります。フライトに向かう道中に毎回お勉強している子もいるほどです。

 そんな彼/彼女には「CAの仕事はサービスだけでなく、保安要員としての仕事も大変だよね。いつもお疲れ様!」と声をかけてあげたら、喜ぶかも! CAの仕事って、ご飯と飲み物を配るだけではないのです。

美容編 褒めるときの微妙なニュアンスが大事

 「CAには綺麗な人が多い」「CAになると綺麗になる」という言葉をよく聞きます。確かに入社してからも、魅力的な人が多いというのは印象としてあります。しかし、客室乗務5年目の今、ようやく気が付きました。「CAになる=自動的に綺麗になる」ではないことを。

 恥ずかしながらCAになる前まではそう思っていたのですが、現実は違った! CAになってから「綺麗になった」なんて本当にほとんど言われたことがないです。

 私が美しいと思う人はやはり努力をしています。髪の毛やお化粧、ネイルに気を使い清潔感に気をつけていたり、ひどく乾燥する機内でお肌がダメージを受けないように対策していたり。CAに限らずですが、やはり内面からも外見からも美しさが溢れている人は何らかの努力をしているなという印象です。

 見た目を褒められることが多いであろうCA。「さすがCA綺麗だね!」よりも「綺麗だね。不規則な生活の中で努力しているんだね」と伝えると、周りと少し差をつけられるかも!?

 いかがでしたでしょうか。以上、CAの彼/彼女にかけてあげたら喜ぶであろう労いの言葉4つを厳選してお伝えさせていただきました。何か新しい発見がありましたら嬉しいです。

 使えそうな言葉はぜひ、みなさんの周りのCAに試してみてくださいね。

LCC、フルサービスと航空会社2社を経験し、現在アジア系航空会社勤務5年目。SNSを通じて、客室乗務員を目指すすべての人に向け、自身のクルーライフを紹介。またフリーのライター、インフルエンサーとして、自社の魅力を初め、世界の魅力を伝えるための情報発信も行っている。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら