元受付嬢CEOの視線

元受付嬢CEOの「後悔」 いま女子大生に戻れたら、絶対○○する

橋本真里子

 私は仕事柄、学生向けのメディアの取材もお受けすることがあります。

 自分で言うのも変ですが、「受付嬢から経営者へ」…これはかなりキャッチーなキャリアチェンジですよね。私の中では全てがつながって今に至っているのですが、改めて取材の場などで振り返ると、「ぶっ飛んでるのかな(笑)」と感じたりもします。

 私が学生向けの取材をお受けする中でよく聞かれる質問の一つに、

「学生時代に戻ったら、何がしたいですか? なんて声をかけてあげたいですか?」

 というものがあります。

 ビジネスパーソンの方々も、「あの時、これやっとけばよかった!」と、後悔に似た気持ちを抱いたことが 一度はあるはず。そこで今回は、私が経営者になった今、過去にタイムスリップできるとしたら絶対にやりたいことについてお話ししたいと思います。

「留学」で英語も文化も学ぶ 投資家に自分の言葉で伝えたい

 皆さん、英語は得意でしょうか。私は英文科を卒業しているにも関わらず、「得意です!」とは言い切れません…。英語にアレルギーがあるほど苦手ではないですが、ビジネスで武器として使うには程遠いレベルです…。

 弊社のサービスは国内を中心に展開しているので、日常的に英語のスキルが求められるかというとそうではありません。しかし、経営者として英語が堪能であれば、例えば海外の投資家と通訳なく会話ができ、自分の考えを自分の言葉で伝えることができます。これって実はとてもすごいことだと思っています。実際に今まで英語でのプレゼンの機会が数回ありましたが、この練習に時間を取られてしまうのも経営者としては非常に勿体無いと感じています。

 学生時代は、英語は「できたらいい」くらいのイメージでした。時代は変わり、今では「マスト」な日本企業も増えています。もし学生時代に戻れたら、英文科で学ぶだけでなく、留学もしたいです。語学だけでなく、その国の文化・生活・宗教や考え方、人間性に触れることで、人間としての幅も広げられるのではないかと思っています。

「インターン」として、企業の裏側と適性をチェック

 弊社では常時、インターンを募集しています。純粋な新卒採用というのは実施しておらず、インターンを経ての採用としています。これは弊社だけでなく、多くの企業が設けており、他社のインターン経験含め、インターンの経験がないと応募すらできない企業もあります。

 私が就職活動をしていた頃、インターン制度を設けている企業は本当にごく一部で、学生の間に「インターン」という言葉はあまり広まっていなかったように思います。ですので、就職希望先の企業は、「大型の就職イベント」「企業パンフレット」「企業HP」などで探したり、情報を収集する。またはOB・OG訪問などで先輩のお話を聞いて…といった方法が主流でした。先輩からじかに聞くお話以外は、基本的に「企業側が見せたい情報」なので、当時は裏側までは知ることは難しかったです。

 インターンとして短期間でも実際にその企業で働くことができたら、その企業の裏側だけでなく、「自分にとってこの企業・業界が向いているかいないか」また、「やりたいと思っている業種が合っているのかどうか」「この企業で活躍するにはどんな知識が必要か」なども知ることができると思います。働くということがもっと自分事となり、より就職活動にも積極的になれると思います。私が学生に戻ったら、学業の合間を縫ってインターン制度を活用したいです。

受付嬢ゆえの悩み 「OAスキル」を磨く

 経営者になって、とても苦労していることの一つが、「OAスキル」の低さです。受付嬢は、業務上で使用するPCのソフトや機能がかなり限定的であるため、なかなかOAスキルを磨くことができません。会社によってはほとんど使わないこともあり、どんどん忘れていくのです…。

 学生時代に一通り勉強しましたし、使い方も覚えましたが、社会人になってから実務で使うことはあまりありませんでした。その結果、ExcelやPowerPointなどにはほぼ触れることなく、受付嬢時代の11年ほどを過ごしてしまいました。これは学生に戻ったらというよりも、受付嬢時代に戻ったら…といったほうが適切かもしれませんが、「OAスキルだけは身につけておけ」と自分に言ってあげたいです。今の私の目標の一つは「超絶かっこいい資料をPowerPointで作ること」です(笑)

もっと「恋愛」を謳歌しておけば…

 仕事以外にもやっておけばよかったこと、あります。

 それは、「恋愛」です(笑)思い返せば、大学生時代の醍醐味の一つである「恋愛」を謳歌していなかったです…。サークルにも入らず、“花の女子大生 ”だったのに、友達付き合いは幅広くできたものの、「異性との深い付き合い」というのはできていませんでした。

 無理に人を好きになったり、お付き合いをする必要はないと思いますが、学生時代の自分には「もう少し、積極的になってみては?」と声をかけてあげたいです。

続く人生 まだまだ実現の可能性はある

 とはいえ、学生時代の自分がいたから、今の自分がいると思っているので、実際に戻りたいとは思いません。これから先の人生、まだまだやれることはたくさんあると思っているので、ここからの人生で一つ一つ実現したり、習得していこうと思います。

橋本真里子(はしもと・まりこ) 株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO
大学卒業後、IT企業を中心に上場企業などで受付業務に従事。受付嬢として11年間、のべ120万人以上を接客。2016年にRECEPTIONISTを設立し、翌年にクラウド受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。日程調整ツール「調整アポ」、会議室管理サービス「RECEPTIONIST For Space」ともに、コミュニケーションをワンストップで効率化する世界を目指し、年間利用回数は120万回超。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。アーカイブはこちら