【元受付嬢CEOの視線】新入社員の満足度を上げる3つのルール 採用が企業側のゴールではない

 

 「3周年」の節目にふと…

 「増えたな~」

 弊社サービス「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」がリリース3周年を迎え、その記念にサービスページを作ったのですが、その使用画像を見て、改めて、スタッフ数の“劇的”な増加を認識しました。「どんな人たちがどんな想いで作っているのかを知ってもらおう」というコンセプトで、社員たち自らが登場しています。その社員の3分の1が昨年に加わった新メンバーなのです。

RECEPTIONIST「3周年記念ページ」。使用画像の撮影には、筆者(中央左)とCOOの真弓(中央右)のほか、任意で参加した社員たちが臨んだ。出典:ディライテッドHP

 画像を見ていて、もうひとつ思ったことがあります。

 「辞める人が少ない!」

 入社後の離職率が低いのです。前回は、聞くスキルの向上法に絡め、弊社の面接時の様子などもお伝えさせていただきました。会社側として、もちろん面接で入社の意思決定をいただくことは大切なのですが、それ以上に大切なのが「続けてもらうこと」だと思っています。弊社はそこもうまくワークしているように感じます。そこで今回は、社員に「い続けてもらうこと」を実現するために、弊社が実践する「新入社員の受け入れルール」をご紹介します。実際には、自然に根付いた習慣のようなものですが、ご参考になれば…と思います。

 最終面接ではほとんど○○しない

 最終面接は基本的に私が1名で対応させていただくことが多いです。その前に、COOである真弓がサービスや業務などを説明し、その上で、募集するポジションにちなんだお話もします。

 最終面接にあたる私はほとんどと言っていいほど業務の話をしません。意外かもしれませんが、これは私の中でこだわっていることのひとつです。では何をお話ししているかというと、「会社の文化や雰囲気、働いている人の様子」をお話しします。なぜ業務の話をせずに会社全体についての話をするかというと、もちろん、ひとつ前の面接で業務については真弓からしっかりとお伝えさせていただいているからではあるのですが、業務というのは変わる可能性があります。しかし、会社全体の雰囲気や働いている人はそう簡単には変わらないからです。

 業務が自分に合っても、働く環境が合わなければいいパフォーマンスができないと思いますし、その会社で働くことが苦痛にもなりかねません。そういった可能性を少しでも低くするため、私は面接冒頭に「基本的に業務の話はしません。私からは会社全体のことをお話しさせていただきますね」と明言しています。そうすることで、面接にいらっしゃる方は「2度同じことを質問されたり、同じ話を聞く必要はないんだ」と安心すると思いますし、「だったら前回聞けなかったことを聞いてみよう」という気持ちにもなるからです。

 結果的に、真弓と私とで役割分担ができており、ハード面(業務)とソフト面(雰囲気や環境)の両軸で会話をすることができています。

 必ず○○に招待する

 これはズバリ、会社の懇親会です。入社前や入社検討段階でお招きします。

 弊社には、毎月月末の水曜に行う全社会と懇親会があります。弊社を転職先の候補としてご検討いただいている方には、必ずお声がけしています。入社の意思をいただいたら、その際には全社員に紹介し、入社日前から歓迎します。検討中の方には、全体会で共有する会社の数字やトピック、各事業部の状況などを知っていただきます。そして、その後行われる懇親会ではお酒や食事も交えながら、社員のみんなと交流してもらいます。

話題や数字を共有するための全社会を終えた後は懇親会へ移行。オフィスを利用して社員同士の交流。この場に入社前の方を招き、社員から“生の声”を聞いてもらう。提供:ディライテッド

 同じ部署で働くであろうメンバーから生の声を聞いてもらったり、直近で入社したメンバーにも積極的に交流してもらい、入社してからの話なんかをしてもらいます(というか、そういったことを社員のみんなが自発的にやってくれています)。

 そうすると、かなりの確率で入社を決めていただきますし、入社後のギャップも生まれにくいという印象があります。

 肩肘張らない歓迎「ランチ」を開催

 新入社員にとって、夜に歓迎会をしてもらえるのは嬉しいと思います。しかし時には、「ちょっとここまでされると恐縮しちゃう…」というシーンも少なくないかと思います。

 弊社で行っている歓迎会はランチです。それも全員強制参加ではなく、「業務の合間に参加できる人」という肩肘張らない雰囲気で行っています。

 一回の大袈裟な歓迎会よりも、継続的に歓迎する雰囲気を作ることが重要だと考えています。ですから、歓迎ランチに参加できなかったメンバーが入社した人を誘って「第2回」なる歓迎ランチを行ってくれていたりします。こういう自発的な文化が何よりも弊社の強みだと思いますし、このような文化を作り出せる仕組みをこれからも増やしていけるといいなと思っています。

 採用「後」が大事

 弊社では、採用が「ゴール」ではなく、むしろ入社してからが本当は大切だということを常に意識しています。弊社のようにまだ40名に満たない企業だと、一人が与えるインパクトは非常に大きいです。数字で表すと、一人あたり2.5%以上の影響力を持つことになります。

 入社してから「この会社に転職してよかった!」と思ってもらえることは経営者が味わえる喜びのひとつです。そのためにも、従業員の満足度を高める工夫を絶やさないよう経営者として努力したいと思っています。

弊社が提供するクラウド型受付サービス「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」が今年1月に3周年を迎えました。記念ページでは、サービスの実績とともに、これまで共にチャレンジしながらサービスを支えてきた弊社メンバーをご紹介させていただいております。ぜひご覧くださいませ!→こちら

「RECEPTIONISTリリース3周年記念」ページ製作にあたり、掲載画像の撮影に参加したディライテッド社員とその様子を感慨深く眺める筆者(左手前)。提供:ディライテッド

【プロフィール】橋本真里子(はしもと・まりこ)

ディライテッド株式会社代表取締役CEO

1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にディライテッドを設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら