CAのここだけの話♪

国際線CAに学ぶ風邪対策 気温差30度超の国々を飛び回るプロの工夫とは

長濱知勢

 SankeiBizの読者の皆さんにだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第44回は東南アジア系航空会社に日本人CAとして乗務3年目の長濱知勢がお送りします。

東南アジア系航空会社に日本人CAとして勤務する長濱知勢さん(本人提供)
オーストラリアのブルーマウンテンズ国立公園のキングステーブルで。柵がなく、開放感たっぷり(長濱知勢さん提供)
ロシア・モスクワの赤の広場に建つ「聖ワシリイ大聖堂」(長濱知勢さん提供)
タイ・バンコクの寺院「ワット・パクナム」の天井画(長濱知勢さん提供)
マレーシア・クアラルンプールの「ブルーモスク」(長濱知勢さん提供)
タイ・チェンマイの首長族の村で、村の女性と一緒に記念撮影(長濱知勢さん提供)
パリ・モンマルトルの「ジュテームの壁」。300の異なる言語で愛の言葉が書かれています(長濱知勢さん提供)

 毎日寒い日が続きますが、皆さんの風邪対策は万全ですか。今回は国際線客室乗務員が日々実践している風邪対策をご紹介します。

 皆さんは機内や滞在先のホテルで風邪をひいたり、悪寒がした経験はありませんか。

 特に長距離路線の機内では湿度が10%以下になることもあり、これは砂漠よりも乾燥した状態です。湿度が低く、空気が乾燥していると風邪やインフルエンザのウイルスも乾燥して軽くなり空気中を浮遊する時間が長くなります。もし皆さんが搭乗した飛行機がこのような空間だとしたら不快でゆっくり休めませんよね。飛行機に乗る際はしっかりと風邪対策をして、快適にお過ごし下さい。

旅慣れていても冬は難しい

 さて、私たち国際線客室乗務員は1年の3分の2にあたる日数を乗務し、滞在先のホテルに宿泊するといった生活を送っています。そんな旅慣れている私たちでも特に体調管理に気を遣うのが寒い冬の時期なのです。

 私たちは寒い国から暖かい国へと飛び回ります。1日にして気温差30度超えの場所を移動することも日常茶飯事です。私たちでさえ、気を付けていても、思わぬ時に風邪をひいてしまうことがあります。

 もし、滞在先で風邪をひいてしまった場合は交代要員がいないため、帰りの便までになんとしてでも回復させなければなりません。また、風邪をひいたまま乗務すると、航空性中耳炎を引き起こすこともあり大変危険です。このような緊急事態を避けるために、客室乗務員それぞれが風邪対策を講じています。

機内に持ち込むと良いアイテム

 まずは乾燥の激しい機内に持ち込むと良いアイテムをご紹介します。

▼マスク(乾燥防止のため。特に濡れマスクがおすすめ)

▼ペットボトル飲料(機内でも提供していますが、いつでも水分補給ができると安心。保安検査通過後に購入を)

▼保温性のあるタンブラー(機内ではお湯を提供しています。好きなティーバッグをお持ちになればいつでも温かいお飲み物が飲めます)

▼羽織るもの(ブランケットの枚数に制限がある路線もあるため)▼常備薬(機内にも薬は用意されていますが、普段服用しているものがあると安心)

▼除菌クリーナー(座席のテーブルやリモコンなどの除菌に。機内は清掃されますが、除菌まではされません)

機内での休み方…○○の際はCAにお声がけを

 出張や旅行でお疲れの場合、機内でもぐっすり眠れる方も多いと思います。しかし、中には長時間フライトではなかなか寝付けない、また何度も起きてしまうという方もいるでしょう。そんな時はアイマスクや耳栓をして、周りの光や音をシャットアウトすると寝付きが良くなります。

 もし機内が空いていて、隣の席が空席の場合はアームレストを上げて横になって頂くことも可能です。ただし、その時は客室乗務員に一言お声掛け下さいね。

 また、機内が寒く休みづらいと感じた時は、客室乗務員にお知らせ下さい。すぐに温度調節し、ブランケットや温かいお飲み物をお持ちします。体を温めることでゆっくりとお休み頂けます。

多くのCAが実践 風邪対策アイテム

 次に多くの客室乗務員が仕事用バッグ、スーツケースに常備している風邪対策アイテムをご紹介します。

▼マスク(外出時の風邪を予防、睡眠時の保湿のために着用)

▼のど飴、のどスプレー(のどがイガイガする時に)

▼うがい薬 (乗務前後にうがい。ない場合はぬるま湯に塩をひとつまみ入れても効果的)

▼点鼻薬(航空性中耳炎の予防)

▼除菌ティッシュ(携帯電話などよく使用するものを除菌)

▼ティーバッグ(安眠効果のあるハーブティーや風邪に効くジンジャーティーを飲んでいます。ジンジャーティーにマヌカハニーをプラスするとさらに効果アップ)

▼サプリメント(不足している栄養を補給)

▼ホットアイマスク(睡眠前に使用するとリラックスでき、安眠効果も)

▼携帯用湯たんぽ (長距離路線の休憩時やホテルの布団が冷たい時に使用。布団を暖めるとぐっすり眠れます)

 また、ホテルが乾燥している時は、加湿器や濡れタオルを使用したり、湯船にお湯を溜め、ドアを開けたままにして部屋を加湿しています。

出張に備え日頃から免疫力アップ

 出張や旅行でいつもと違う環境おかれるとから、睡眠不足などで疲れが溜まり免疫力が低下することもあります。免疫力が低下すると風邪をひきやすくなりますので、普段から免疫力を高めるため、次のことを実践するのも大切です。

▼適度な運動

▼十分な睡眠

▼バランスの良い食事

▼体を温める

▼よく笑う

 今回ご紹介した客室乗務員が実践する風邪対策は皆さまの生活にすぐに取り入れることができます。ぜひ、機内や滞在先のホテルでお試しになり、寒い冬を元気に乗り切って下さい。

兵庫県出身。大学卒業後、輸入車ディーラーでショールームアテンダント、日系企業で総合受付として勤務。大学時代にはカナダにて語学留学を経験。現在はベトナム・ホーチミン市に在住し、現地の航空会社でCAとして乗務3年目。趣味は旅、料理、アフタヌーンティー巡り。飛行機、自動車が好き。

【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら