地震発生から30分で津波浸水被害を予測
東北大発ベンチャーのRTi-cast(アールティアイキャスト、仙台市若林区)が東日本大震災をきっかけに開発したのは、リアルタイムでの津波浸水被害予測システムです。災害発生から数十分後に開かれる対策会議では、被害状況が把握されない状況ですが、システムではスーパーコンピューターによって被害範囲を自動的に予測します。現在は南海トラフや相模トラフなど太平洋沿岸で活用されており、地震発生から30分で情報提供が可能です。
防災用品に特化したカタログギフト
被災地でのボランティア活動を7年間続けてきた4人のメンバーが運営するKOKUA(コクア、東京都渋谷区)は、防災用品に特化したカタログギフト「LIFEGIFT」を提供しています。結婚式や出産祝いといった個人向けだけではなく、福利厚生や住宅、自動車購入客への返礼品など企業が利用するケースも増えています。今後は商品開発に力を入れ、顧客に合わせてカスタマイズされたオリジナル防災バッグも販売する予定です。
宇宙から地盤沈下の予兆を早期に把握
宇宙ベンチャーのSynspective(シンスペクティブ、東京都江東区)は、地球を外周する小型のレーダー衛星群を打ち上げて地形・構造物のデータを取得し、解析した上で情報を届けるサービスを展開しています。例えば地盤沈下の予兆を早期に把握し、陥没事故のリスク低減につなげることができるほか、天候に左右されないため台風の最中でも地上の様子を確認できます。2018年に設立後、わずか1年半で100億円の資金調達に成功しています。
サプライチェーンのリスク管理サービス
Resilire(レジリア、東京都目黒区)は、災害や不測の事態が生じたときでも事業者サービスの安定供給を実現する、サプライチェーンのリスク管理サービスをSaaSで展開しています。災害時には影響の及ぶ可能性のある範囲を可視化し、該当するエリアにあるサプライヤーに状況確認の通知を自動送信します。その後、担当者がスマホで簡単に状況を回答することによって、状況が反映される仕組みです。
短期間で水害状況の予測が可能に
東大発ベンチャーであるArithmer(アリスマー、東京都港区)は、独自開発した流体シミュレーションを活用した浸水予測ソリューションを提供しています。水害が発生した後、損害保険会社は被災地に行って電柱に残った跡などを見て測定していましたが、このシステムでは地形と水深実測データを活用。解析から数時間~数日と圧倒的に短い期間で状況の予測が可能となります。
また、1平方キロメートル当たり3点以上の水深データがあれば解析できます。
気候変動に伴う自然災害は今後、さらに多発化、大規模化する可能性があります。Disaster Techベンチャーの活躍に期待が高まります。
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