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2度目の起業、フードデリバリーで成長を遂げた企業が目指す理想とは (1/2ページ)

東京21cクラブ
東京21cクラブ

 「Founders Night Marunouchi」は、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得ることを目的に、三菱地所が運営する起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」との共同開催のイベントシリーズです。

 2021年8月25日に登壇いただいたのは、スカイファーム株式会社代表取締役CEOの木村拓也さん。同社は、横浜みなとみらいエリアのフードデリバリーサービス「NEW PORT」や、丸の内エリアの手土産デリバリーサービス「TANOMO GIFT」、など計4つのサービスを展開しています。

 木村さんは、大学卒業後にWebCM制作会社を創業。その後、外資系IT企業、楽天株式会社の勤務を経て、2015年7月にスカイファームを創業しました。

 どのような経緯でフードデリバリー事業を始めるに至ったのか。また、競合が多いなかでどのように差別化を図っているのか。Peatix Japan取締役の藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志がモデレーターを務め、たっぷりと話を伺いました。

 “持ち株比率”がきっかけで招いた、組織の空中分解

 イベント序盤、木村さんが語ったのは1度目の起業で味わった苦い経験でした。

 木村さんはサンフランシスコ州立大学に在学中、動画コンテンツ配信を行うベンチャー企業でインターンを経験。大学卒業後に日本へ帰国し、大学時代の先輩を含む4人でWebCM制作会社を共同創業しました。

 共同創業に「創業メンバー全員の持ち株比率をほぼ均等にする」ことを決めたと話す木村さん。しかし、この決定が失敗の一つだったと振り返ります。

 「持ち株比率をほぼ均等にしたことで、最終的な決定権を持つメンバーが実質的にいない状態でした。その結果、会社としての意思決定が必要な場面で、意見がまとまらないことが増えていきました。『来月にもキャッシュが尽きてしまう』というピンチのときでさえも、誰が何をやることでこの状況を乗り切るのか、意見がまとまることはありませんでした。いわば、組織の空中分解に近い状況だったと思います」

 結局会社は解散を余儀なくされ、木村さんは外資系IT企業へ入社することに。このとき、「もう2度と起業はしない」と自分自身に誓ったといいます。しかし、その後転職した楽天で転機が訪れました。

 「楽天ではWebマーケティングの業務に従事しており、その仕事を通じてスタートアップを支援する機会も何度かありました。あるとき、自分がサポートしていたスタートアップが急成長を遂げる姿を目の当たりにしました。その成長角度の大きさに、思わず衝撃を受けてしまって。それ以来、じわじわと『自分ももう一度挑戦したい』という気持ちが強くなっていきました」

 お店とお客様の「より良い関係性」を増やしたい

 2度目の起業に踏み切った木村さんが最初に構想したのは、野菜の宅配サービスでした。具体的には、生産者が青果店などを経由せず、Webを通じて直接家庭に野菜を届けられるサービスを検討していたといいます。

 サービス立ち上げのヒントを探るべく、木村さんは自ら半年間にわたって青果店に勤めることを決めます。この試みこそが、現在の主力事業であるフードデリバリーサービスの実現に至る最初の一歩だったと振り返ります。

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