顧客の動きや提案状況を即座に把握
Housmart(東京都中央区)は不動産仲介会社向けの営業支援システム「プロポクラウド」を提供しています。営業担当者に代わって顧客の希望条件に合う中古マンションの物件情報や、マンション売却に関するコンテンツを自動でメール送信します。サービスを開始して2年が経過しましたが、関東の1都3県で導入店舗は200を超えました。今後は中古戸建てと土地へと領域を拡大し、関西圏への進出も目指します。
スマホでマンション自主管理
マンション管理アプリ「KURASEL(クラセル)」を提供しているのがイノベリオス(東京都千代田区)です。マンションの大半は管理会社に全業務を委託する方式を採用していますが、人件費の高騰で委託が難しくなる恐れがあります。KURASELはスマートフォンによって簡単に自主管理を行えるサービスで、管理会社に任されている業務の一部を管理組合だけで簡単に行えるようになり、コスト削減につながります。
家賃が最終的にマイホームに
Minoru(東京都渋谷区)は、月々の家賃が最終的にマイホームになるという譲渡型賃貸住宅「家賃が実る家」を提供しています。ユーザーがWeb上で住みたいエリアを選定し、間取りを80種類の中から選択。プランニングを行い、新築の戸建てに賃貸借契約と贈与予約契約を締結して住む仕組みです。宮城県では移住の促進と一次産業の活性化を図るため「トマトを栽培するとマイホームがもらえる」といった取り組みを行っています。
消防点検を可視化
建物には年2回の消防点検が消防法によって義務付けられており、定期的に消防署に報告書を提出する義務があります。違反した場合は30万円以下の罰金や拘留措置が取られますが、点検実施率は決して高くありません。こうした課題の解決に向けてスマテン(名古屋市中区)が提供しているのは、建物事業者と点検業者を繋ぐサービスです。点検の状況をWeb上で可視化することによって、安心・安全性を高めます。
最も有利なローンを探す
住宅ローンを新規借り入れしたい、もしくは借り換えたいユーザーを対象に、全国の主要銀行から最も有利なローンを探して申し込めるサービス「モゲチェック」を提供するのがMFS(東京都千代田区)です。仕事の業界や内容、借入希望額など必要な15項目を入力することにより、ユーザーごとにカスタマイズされたお薦め住宅ローンランキングが表示されます。ユーザー数はこの1年で3倍になりました。
AIやIoTが信頼性高め取引拡大
米国は世界最大級の不動産市場で、中古住宅の取引量は日本の約9倍です。また、不動産取引の透明性評価は世界でトップです。不動産テック市場も拡大しており、市場を代表するZillow(ジロウ)、Opendoor(オープンドア)、REDFIN(レッドフィン)、COMPASS(コンパス)は、各社の頭文字を取り「ZORC(ゾーク)」と呼ばれ、不動産版のGAFAとして大きな存在感を示しています。日本の課題はAIやIoTなどの活用で透明度と信頼性を高め取引を拡大し、不動産資金を呼び込むことです。こういったサイクルの構築が米国のように不動産テック系ベンチャーの台頭を促し、不動産市場全体の拡大にもつながることでしょう。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら