Fromモーニングピッチ

エンタメもオンラインにシフト 多彩なベンチャーに脚光 (1/3ページ)

永石和恵
永石和恵

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は「オンラインエンタメ」で、テーマ概観を説明するのはモーニングピッチの運営統括を担当する永石和恵です。ベンチャー企業で10年間にわたり、主に人事関連のキャリアを積み重ねてきました。現在は主にスタートアップ支援などに携わっています。

COVID-19で市場の8割が消失

 国内のライブ・エンターテインメント業界の動向をみていきたいと思います。COVID-19による打撃は大きく、ぴあ総研では来年1月までに市場のうち約6900億円が消失すると試算しています。これは年間規模の77%に相当する額です。こうした中、リモートエンタメという新しい文化が芽生えてきました。今回の特集ではオンラインエンタメの領域をオンラインだけのコンテンツだけでなく、オフラインのオンライン化、リモート対応も含めています。

 米国の広告費は2017年、インターネットがテレビを上回りましたが、日本も19年、同様の事象が起きました。インターネットユーザーが各種メディアを利用している平均時間をみますと、若年層はとくにSNS、音楽ストリーミング、ゲーム、オンライン動画サービスに費やしています。

新様式、デジタルライブ

 ユーザーの新しいエンタメ様式として注目されているのがデジタルライブエンターテインメントで、市場の急拡大が見込まれています。2020年は140億円の見通しですが、24年には約1000億円に拡大すると予測する調査もあります。今年6月にはサザンオールスターズのライブ配信がありましたが、有料チケットで18万人のアクセスがあり、単純計算すると1回で6億5000万円を売り上げたことになります。リアルな場で換算すると東京ドーム公演の場合、満席にした状態で3~4回の公演を行わないと、この額を稼げない規模です。それを考えるとライブ配信の収益性は、非常に高いことが分かります。

テクノロジーの進化などがカギ

 こうした次世代型エンタメへとシフトするための不可欠な要素は、テクノロジーの進化とユーザーの行動変容、ビジネスモデルの転換という3点がうまく回っていくことだと考えています。テクノロジーでは通信やデバイスの進化とデータセキュリティという総合的なインフラの強化が必要となってくるでしょう。行動変容はネット上のリテラシーや心理的ハードルの軽減、価値観の変化などが挙げられます。ビジネスモデルの転換では省人化・低コスト化やコンテンツ権利、サプライヤーとの連携が重要になってきています。

 ここでオンラインエンタメの事例を紹介します。

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