Fromモーニングピッチ

大都市集中リスクで地方創生も変革期 ベンチャーに求められる新産業創出 (1/3ページ)

大谷一夫
大谷一夫

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はCOVID-19によって大都市集中のリスクが指摘される中、脚光を浴びている「地方創生」です。テーマ概観を説明するのは、これまで全国10カ所の地方自治体でスタートアップ支援などの企画に携わってきました、地域ユニットの大谷一夫です。

 キーワードは「依存」

 地方創生を巡る大きな節目は2014年でした。5月の日本創生会議で「2040年までにおよそ半分の自治体が消滅する可能性がある」という内容の「増田レポート」が発表されたからです。これを契機に安倍晋三政権は地方創生を重点課題に掲げ、15年度から19年度にかけて約5兆円の地方創生関連予算が計上されております。

 ただ、東京への転入人口の超過が加速していて、地方創生は、全体的にトーンダウンしているような印象を受けます。そこには構造的課題があるように思います。キーワードは「依存」で、そのひとつが“外部経済”依存です。

 経済の観点から見ると観光と地域商社、ふるさと納税が地方創生の目玉事業でしたが、地域内で循環経済や経済基盤づくりを進めるという取り組みは限られていたように思います。産業の領域では“横並び施策”依存がネックになりました。確かに他地域での成功事例を取り入れる動きは活発でしたが、自分の地域でどのような新産業を生み出せばよいのか、という発想が乏しかったのではないでしょうか。

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