ちなみに、ご参考までに、短期的なモチベーション(やる気)は「作業興奮」と「継続習慣」から創出されます。
短期的なモチベーション(やる気) = 「作業興奮」 + 「継続習慣」
「作業興奮」とは、何か作業を(嫌々でも)し始めると、気づかないうちにエンジンが掛かって作業が進む(楽しくなってくる)生理現象です。片付けや掃除をし始めると、事前に思っていたよりハマってしまった経験、おそらくありますよね?
「作業興奮」で着火して、「継続習慣」があると勢いにノリやすいのが、私たち人間の習性。せっかくの本能的な部分ですから、仕事にも活かさねば損です。
3つ満たせば最強? 良いコンディションを保つ方程式
さて、メンバーたちの活力ある状態は、中長期的なモチベーション方程式で創れますが、もうひとつ、メンバーたちが良いコンディション、健康的な状態で働いてもらうための法則もあるのでご紹介しておきましょう。
「首尾一貫感覚、SOC(sense of coherence)」と呼ばれる感覚があります。これは健康を増進し、ストレス対処に長けた人が抱く感覚だと言われています。それは、以下のように成り立っているそうです。
「首尾一貫感覚、SOC(sense of coherence)」 = 「有意味感(やりたいテーマ)」+「全体把握感(全体の中で自分の役割が分かる)」+「経験的処理可能感(できる気がする)」
「Coherence」には「首尾一貫」という意味と「統一性、全体感」という意味もあり、「広く俯瞰して、全体として整っている状態」を意味します。「やりたい」「どの部分を担っているか分かる」「できる気がする」という状況が揃うと、そのことについて全体感、一貫性ある取り組みができる感覚を持てるということですね。
精神的に健康な状態、ストレスに対処できる状態とは、自らコミットできてコントローラブルな状態であることだと認識し、極力この状況を獲得し保つにはどうすれば良いかを考え動くことが非常に重要です。
まとめついでに、<第15回 2019/6/10社長になる人は動機付けがうまい。社員のやる気を引き出す「5つの特性」>で紹介した、ハックマン=オルダムの職務特性モデル「モチベモチベーションが上がる仕事の5つの特性」も活用して欲しいのでおさらいしておきましょう。
「技能多様性(Skill variety)」「タスク完結性(Task identity)」「タスク重要性(Task significance)」「自律性(Autonomy)」「フィードバック(Feedback)」の5つの特性を満たすことによって「有意味感」や「責任感」などの心理状態が発生し、モチベーションがUP。それが仕事の成果につながっていくと考えられています。詳細はぜひバックナンバーをご覧ください。
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やる気、やりがい、健康的なコンディションは全て、意図して創出でき、コントロールできるのです。常時とまではいかなくとも、今回ご紹介した方程式と構成因子を頭に入れておいていただき、折々、思い返したりチェックしてみて欲しいのです。それだけで、あなた自身とチームメンバーのモチベーション、組織エンゲージメントのレベルはぐんと高まりますよ。社長を目指す上司のあなたなら、一式、身につけておきたいですね。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら