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東京五輪開会式はロスジェネ世代の「成人式」 渋谷系管理職を読み解くヒント

常見陽平
常見陽平

 書こうかどうか悩んだが、書こう。東京五輪開会式のことだ。五輪関連のことは何を書いても批判される。メダルラッシュに湧く様子を見て「踊らされているな」「コロナ感染が爆発しているのに」という人もいれば、中止・中断を求める人をみて「選手や関係者が頑張っているのに、盛り下げるのか」という人もいる。何を書いても何か言われるのだから、思ったことを思ったままに書くことにする。

 主に東京五輪開会式と前半の競技に関する雑感を、ロスジェネ世代の当事者視点でまとめる。若い頃に渋谷系サウンドを聴いていた人たちがもうすぐ50歳になる。会社では渋谷系管理職がとっくに生まれている。今回はこの世代の憂鬱、悲哀を解説したい(代弁ではない)。

 今回の五輪は開催前からトラブルの連続だった。新型コロナウイルスショックで1年延期となった上、無観客開催となった。大会関係者の不祥事も相次いだ。直前には、過去の言動により開会式に関わった小山田圭吾の辞任、小林賢太郎の解任という出来事もあった。

 小山田圭吾、小林賢太郎って誰?

 この小山田圭吾、小林賢太郎問題については、過去の言動の是非、その確認が不十分だったことに対する関係者の責任、当事者への影響、国際的な波及など様々な論点がある。ただ、これらの内容については、すでに全国紙も含め多数の論考が世に出ているのであえてスルーする。

 私がここで思うのは、仮に小山田圭吾、小林賢太郎の過去の言動が明るみに出ず、そのまま担当していたらどうなっていたかということだ。予想するに、一部のファンが熱狂し、他の人は「ふーん」という状態だったのではないだろうか。

 なぜかといえば、渋谷系にしろ、ラーメンズに代表される新時代のお笑いにせよ、その時代・世代がそれ一色に染まったわけではないからである。同世代も含め、「小山田圭吾って誰? コーネリアスって何人?」「小林賢太郎って誰?」という人も多かったのではないか。

 私の幼少期から10代においては、いくつものブームがあった。ガンプラ、ラジコン、ミニ四駆、ファミコン、おニャン子、バンドブームなどなどだ。永ちゃん、YMOというよりは、BOOWY、尾崎豊、ブルーハーツだったのだが。ただ、これらのブームも必ずしも全員が体験したわけではない。尾崎豊を聴いていたのはクラスの1~2割くらいではなかったか。のちに、カラオケで同世代の誰かが歌うのを聴いて、記憶が書き換えられ、あたかも自分たちの時代の歌へと化けていった。まして、渋谷系にいたっては、同世代でもそれが何を指すのか分からない人も多数いることだろう。

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