働き方ラボ

「飲んだ次の日ほど、朝一番に出社しろ」心に残る“サラリーマン格言”を考える

常見陽平
常見陽平

 「仕事ができない」という言葉も雑だ。その人の能力・資質に合った仕事というものがある。みんなから揶揄される「東大卒だけど仕事ができない人」は、単なる配属ミスかもしれない。揶揄されるポイントも、コミュニケーションミスや報連相が不十分であることだったりする。課題解決、企画立案は意外に得意だったりするかもしれない。

 愛嬌をウリに仕事をしていた人は、のちに行き詰まる。行動量やキャラクターで成果を出すことができる期間は意外に短い。

 というわけで、この格言については、それぞれ大事だという当たり前の結論に達する。そして、自分に足りないものをどう補うか。それが問題だ。

 お客さんの前で使うものは、いいものを使え

 これまた、若い頃によく言われた格言だ。ボールペン、名刺入れなど、お客さんの前で出すものはいいものを使えというものだ。その方が数字ははずむという「迷信」のようなものまであった。

 法人向けであれ、個人向けであれ、何かを購入する、決済するというのは大きな決断である。その際に、チープな名刺入れの上に先方の名刺を置き、使い捨てのボールペンで契約を結ぶというのは、さすがにお客さんに対しても失礼ではないか、と。商談を優雅な時間にするためにも、これらのものにはお金をかけろというものだった。新人時代に、この手の出費は痛かったが、気づけばずっとモンブランのボールペンと、そのときのお気に入りブランドの名刺入れを使っている(今はグッチの、財布兼用のカードケースを利用している)。

 もっとも、これもまた一気に古い格言になってしまった。そもそも、対面での商談を必ずしも行わない時代になってしまった。コロナ前から、お金を持っている人も、必ずしも服やアクセサリーにお金をかけなくなった。

 もちろん、チープすぎるボールペンで1億円の契約書にサインしてもらうのは「ない」と思うのだが、今や、高いかどうかではなく、自分らしいかどうか、相手が不愉快なレベルではないかがポイントだ。ここに過剰に力を入れると、単なる痛い人になってしまうのだ。

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