ミラノの創作系男子たち

環境問題とラグジュアリーに精通 エリザベッタに聞く「マナーやエチケットを語る意味」~女子編

安西洋之
安西洋之

 サステナビリティという言葉が世界中を駆け巡っている。地球の危機だと環境問題を起点に使われることが多い。しかしながら、どこも同じ動機とニュアンスでサステナビリティを語っているわけでもない。

 例えば、スカンジナビア諸国では環境が第一の動機になるが、イタリアでは景観美を長く愛でたい、あるいは美味しい農産物を食べたいとの動機がもっと前面にでてくる。

 「イタリアで環境に関する最初の法律は1920年代です。ドイツやフランスが同様の法律を定めたのは、もっとずっと後です。そしてイタリアのその法律の特徴は、自然環境だけでなく文化遺産や景観美もカバーしていたことです」。

 こう話してくれるのは弁護士のエリザベッタ・チチゴイだ。環境問題のエキスパートである(Who’s Who Legal 2021年版でもイタリアの環境問題のトップ14人の弁護士の1人に選ばれている)。

 1985年の地方の田園風景の保護も含めた景観法が大きな分岐点であったと思っていたが、もっと時間を遡っていかないといけないとぼくは気づいた。100年前のイタリアが文化遺産や景観美を何としても守り抜く理由とは何だったのか、と。

 エリザベッタにインタビューしてみたいとぼくが思ったのも、環境問題に関わりながらラグジュアリーもカバーしている点に興味をもったのだ。この2つを繋ぐ要素があるとすれば文化遺産である。

 彼女はミラノ大学法学部を卒業したのち、ボローニャ大学の文化遺産に関する修士課程も終えている。

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