こんにちは。突然ですが、わたしは昔から偏頭痛に悩んでいます。「翌日は雨」というような状況だと気圧の変化に反応して頭痛が続きます。薬もあまり効かないのですが、長い付き合いなのでなんとかやり過ごしています。とはいえ、心配なので何年かに一度は脳神経外科を受診して、MRI(核磁気共鳴画像法)でチェックしてもらっています。
という前置きで今日の本題です。先日も強い頭痛に苦しんでいる最中、ふとジョギングしているときに目にした「スマート脳ドッグ」の看板を思い出して検索してみました。端的にどの辺りが「スマート」なのかというと、
- 初診でもネット予約可能
- 問診は事前にWEB入力
- 検査当日のMRIは30分で終了
- 結果は画像と文章によってメールで返信
- その後の質問はWEBで可能
というものでした。保険外で1万7500円。保険適用レベルの金額ですね。人間ドック(1日コースで3万円~6万円)の半額近いです。土曜の夜に検索して、翌日日曜の朝10:00の予約が取れました。
受付→検査→会計 たったの18分
実際に伺って、受付で名前を言ったのが10:00ちょうど。そして、流れ作業のようにMRIを終えて、会計に呼ばれたのがなんと10:18でした。
これまで私が経験した脳神経外科の通院ですと
- 初診は予約なしで
- 受診後、MRIの予約をとる
- MRI当日は1時間ほどかかる
- 結果で再度伺う
という流れでしたので、すさまじい時間削減になっていました。
職業柄、というか実地調査を兼ねての受診でしたので「この仕組みはどうやってまわっているのか?」を調べたり、考えたりしながらのランチタイムとなりました。
シンプルですが、
- 頭部のMRI特化によって、当日の作業が極めて効率的。おそらくMRIは普通の病院の2倍は稼働している
- 事前、事後の問診・画像診断・報告をWEB化により人件費も効率化している
脳神経外科だけでなく人間ドックと比較しても、相当な効率化です。時間・コスト面での利便性が高まり、新規需要、つまりいままで人間ドックにも脳神経外科にもかかっていなかった人が「それなら受けてみようかな」と受診することが期待できるでしょう。実際、私も妻に「是非一度受けてみるべき!」と勧めています。
スマート脳ドックの「破壊的」ビジネスモデル
ビジネスモデルの観点から見ると、「非効率」「オーバースペック」「不必要なアップセル&クロスセル」を破壊するものの典型だと言えるでしょう。患者からすると、とにかく「必要な部分にだけ」お金をかけたい。つまり、問診に人的サポートは必要ないし、診断結果もわざわざ対面にすることで場所代・医師を拘束することによる高い人件費を避けたいと考えるのです。
「破壊的」というのは、既存のシステムにとってはかなり驚異的であるということで、まさに米ハーバードビジネススクールのクリステンセン教授が提唱した「破壊的イノベーション」のことです。
- 「やはり対面で人間としてやりとりをしたい」
- 「そうしてこその病院だ」
という意見もあるでしょう。しかし、このビジネスが成り立っているように「そこはいりません」という層もいるわけです。このビジネスが破壊的なのは、既存の「対面式」の診察を維持するのに必要だった患者(顧客)を効率化された新しい方式に奪われることによって、既存の体制が維持できなくなったり、高いコストを支払うことになる可能性があるという点です。