《今回の社長を目指す法則・方程式:アル・ライズ+ジャック・トラウト「カテゴリーの法則、対立の法則」》
「上司として存在感を出したい」。組織を預かる者としては、誰もがそう思うことでしょう。しかし、そう願ってはみても、なかなか思うようにいくものではありませんね。活躍している同僚・上司を真似てみたり、受けを狙ってみたりしても、空回るばかりです。
そんなときは、「自分自身の位置づけ方」を考えてみた上で、戦略的にポジショニングを取ってみるとよいでしょう。今回はそのための絶好の法則を紹介してみます。
優れたブランドを獲得する不変の法則があった
「ポジショニング戦略」という言葉を聞いたことがありますか?
マーケティング戦略のひとつで、見込み客の心の中に、その商品・サービスの位置づけ(ポジショニング)を行うことを指します。対象は商品・サービスのみならず、企業や組織、人の場合もあります。
私たちはポジショニングを知ることによって、競合との位置関係や自社の位置づけの意味を知り、効果的な戦略を立案することができるのです。自社のポジションを知り、差別化(差異化)を図れば、他に追随されない独自のポジションを獲得することも可能でしょう。
このポジショニング戦略において秀逸な法則群を提示したのが、マーケティングコンサルタントのアル・ライズとジャック・トラウトです。二人が著した1993年発刊の『マーケティング22の法則』(東急エージェンシー・刊)は、30年近く経った今でもマーケティング関係者のバイブルとされる名著。優れた商品・サービス、あるいは事業・企業は、22の成功法則に則ったポジショニングを実現しているといいます。これを私たちのセルフ・ブランディングに転用してみない手はありません。
自分のNO.1は必ず作れる
冒頭の通り、上司として存在感を出したいあなたは、自分が他者より優れていることを周囲に納得させようとすることでしょう。マーケティングにおいても、基本的なマーケティングの課題は「自社の商品やサービスが他より優れていることを顧客に納得させること」だと信じている人が多いです。
しかし、その考えは間違っているとアル・ライズとジャック・トラウトは指摘します。
マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切って「一番手」になれる分野を創造することです。
これが「一番手の法則」で、他に優っていることよりも先頭を切ることの方が大切であり、最初に顧客の心に入り込むことのほうが、最初に入り込んだ商品より自分の商品のほうがベターであると人に納得させることよりもはるかに容易なのです。
私たちは概ねNO.1のものしか記憶していません。日本一高い山、最初に大西洋を横断飛行した人、月面に初めて足を置いた人。これらを答えられない人はほとんどいないでしょう。では、日本で2番目に高い山は? 大西洋横断飛行を2番目に成し遂げた人は? 月面に足を降ろした二人目の人は? 知っている人は、ぐんと減ってしまうこと間違いありません。
「なんだ、僕には一番のものなんてない。やっぱり自分には存在感を出すなんて無理なんだな…」
そんな風に思われたあなた、諦めるのはまだ早いですよ。