悩んだ時は、送らない
今はプライベートもビジネスも「チャット」を使った会話が増えていると思います。私が学生だった時や受付嬢になった初期の頃はメールが主流でした。それが今はLINEと言ったようなチャット形式のコミュニケーションツールが増え、コミュニケーションのルールも大きく変わったと思います。
対面でもチャットでも、いつも念頭に置いているのは「一度言ったことは取り消せない」という考え方です。会話の中で、私が間違ったことや相手を不快にさせる発言をしてしまい、謝ったとしても、相手の頭の中にその言葉は残ります。許してもらえる・もらえないという問題ではなく、記憶に残ってしまうという意味です。
チャットというのはメールよりもリアルタイム性が高く、会話が盛り上がりやすいと思います。確認もしやすく、返信もしやすい。だからこそ、軽率なやりとりにつながりがちだと思っています。
特にビジネスシーンにおいては、価値観が違う人とのコミュニケーションも多くあると思います。意見が違う相手にどうやって自分の考え方を伝えるか、慎重に考えるべきです。
私は「この内容で相手に伝わるか」「ネガティブな感情(嫌味)が入っていないか」など、自分で作った文章を何回も読み直します。もしそこで「ちょっと嫌味があるな」と感じた場合は、送るのをやめて、最初から作り直したり、文章中の単語を選び直したり、順番を入れ替えたりします。そうすることで、自分の中での納得感が得られ、シンプルに自分の感情が伝えられる気がします。一呼吸置くこと、読み返すこと、おすすめです。
ありのままでいい 「人は人。自分は自分」
初めて会った人にいわゆる「マウント」を取られたことがある人、少なくないのではないでしょうか。マウントっていい気持ちになることではありませんし、私は全くもって意味のない行為だと思っています。でも裏を返すと、「初めて会う人に良く思われたい。興味を持ってもらいたい」という気持ちの表れでもあると思います。
マウントの何がよくないかというと、「とっている方も取られている方も、だんだん辛くなること」です。初めて会った人が、一度限りの交流という限定的な相手ならいいかもしれません。しかし、これから同じ環境で長い時間ともに過ごしていく相手だった場合には、いい方向には働かないと思います。
だから私は何よりも「ありのままの自分でいること」を意識しています。自慢と言ったような自分で期待値を上げる事は言いませんし、相手の特徴を挙げて自分と比較することもしません。「人は人。自分は自分」なのです。コミュニケーションする中で、この感覚を忘れている人、結構多い気がします。肩肘張らず、お互いの価値観を受け入れる姿勢で距離感を詰めていくように心がけています。
ありのままの自分で新しい環境に馴染む
こうして、「環境が変わった時に心がけたいコミュニケーション方法」を文章にしてみると、私が大切にしていることは「至って普通のこと」だと、改めて感じました。でも、出会ったばかりの相手とは「ありのままでいること」が意外と難しかったりするものです。
そして環境の変化のタイミングは、新しい自分になるチャンスでもあります。「引っ込み思案だった自分を積極的な性格に変えたい」「友達100人作りたい!」とったような前向きな変化を起こす、いいきっかけにもなると思います。私もそういう経験あります。そういう時、私は、身近で憧れや目標になるような人を見つけます。そしてその人と仲良くなるよう努力します。仲良くなれなかったとしても「この人のこういうところが魅力」と具体化し、自分もそうなれるように心がけます。
前回書きましたが、「周囲の人々は自分を写す鏡だ」と考えてみましょう。目標となる人を鏡にすれば、自然と自分の中に変化が生まれます。だから背伸びしすぎず、ありのままの自分を大切にしつつ、時に自分にないものを持っている人から刺激をもらう。それだけで、新しい環境に馴染み、新しい自分を作ることもできるはずです。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。アーカイブはこちら