人として、リーダーとしての礎を築くOS的役割と効果
思い返せば、自立を果たした上で更に公的成功によって「相互依存」に至る(自立よりも相互依存状態のほうが望ましい)という考えにも、最初に「7つの習慣」に触れた際に、ハッと気づかされたものでした。
リーダーシップやマネジメントの古今東西の理論や教訓で、他社とのかかわりなどを説くものは多くありますが、「7つの習慣」ほど具体的、実践的、かつ現実的にどのように他者とかかわりを重ね、積み上げればよいのかを指南するものは、いまに至ってもなおそう多くはないでしょう。
一方では、ベースとしての自己研鑽についても、一生記憶に残り、しかも実用的な視点と方法をコヴィー博士は多く残してくださいました。
「刺激と反応の間には選択の自由があるのだ」「自分自身の影響の輪を広げよう」「P(成果)/PC(成果を生み出す能力)バランスを保とう」------私個人としても、これらの考え方・あり方が自分自身の心身の健康をキープし続けてくれているのだと実感しており、若いときに「7つの習慣」と出逢えたことに感謝するばかりです。
最後に、「7つの習慣」の「習慣」について、そもそもコヴィー博士はどのように捉えていたのか?
コヴィー博士の「習慣」の定義は、「知識、スキル、意欲の三つが交わる部分」です。知識は、何をするのか、なぜそれをするのかという問いに答える理論的なパラダイム。スキルは、どうやってするのかを示し、意欲は動機であり、それをしたいという気持ちを示す。人生において効果的な習慣を身に着けるには、これら3つすべてが必要なのだとコヴィー博士は言います。
さて、読者上司の皆さんは、3つ揃っていらっしゃいますか?
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「激流の時代に、翻弄され流されるのではなく、自ら舵を取る」ために提示された「7つの習慣」。くしくも新型コロナ禍において、経験したことのない世界へと世界中の人たちが送り込まれ、その中で各社各様の闘いを強いられているこの状況ほど、<激流の時代>という言葉が合致する時はないですよね。
そういう意味でも、今こそ改めて上司の皆さんが「7つの習慣」を再発見すべき、絶好のタイミングではないか。そう思います。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら