もちろん、毎日これだけ多くの人がソーシャルメディアの個人投稿も含めて発信している状況で、ニュースへの感想や批判を書くのが、正直のところぼくには虚しいと感じられる。
他の人が書いていることを、ぼくがやる必要もないだろうと思ってしまう。それはぼくの性向というか趣味みたいなものだ。そういう意味で、自分を起点にして書く理由を延々と書き連ねるのも、ますます「後付け感」が漂ってくる。
あるいは自分の経験したことには自ら確信をもって書けることが多いので、さっさと文字数を埋められるという特典もある…いや、そういうわけでもないか。断定的な書き方にならないよう慎重になるとの面もあったか。
それが証拠に、今回このように自分のことを書いていながら、案外の案外、馬脚を現さないような気を遣っていそうだ…と第三者的にここまでの原稿を読んでみての印象だ。
あっ、これは1つはっきりと言える。自分を起点とすることで一人称単数を主語にした文章を書くのが、ちっとも怖くなくなった。これは結構、爽快な気分にしてくれる。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。