どの時代も、来客数との関係性が高いのが受付嬢
今後は、従来の受付方法だった内線電話が敬遠されるツールになり、受付に人を置くことが企業としてリスクになると考えると、IT化(デジタル化)を検討せざるを得ない状況です。
私が受付嬢として「派遣切り」にあった時は「会社の業績が下がり、来客数も減り、受付コストを維持することが難しくなった」というのがその理由でした。当時から、来客数と非常に関係性が高いのが受付嬢です。これを踏まえて考えると、正直、コロナを機に受付嬢の将来はより厳しいものになると言えます。実際、友人が勤める企業では、久しぶりに出勤したら受付スタッフがいなくなっており、IT化されていたと聞きました。
有人の受付を構える企業はそれなりに規模の企業が多いです。企業規模が大きければ大きいほど、コロナによる様々な影響も大きく受けることが推測できます。まだワクチンなども開発されていない今、経済が今後どうなっていくかわからない中で「かけ続けるコスト」と「削減すべきコスト」を棚卸しする企業は少なくないはずです。有人の受付を完全になくすことは避けたとしても、交代出勤や人数削減を実施している企業もあり、受付スタッフの大半は派遣社員ですので、受付嬢にとっては死活問題だといえます。
「ハイブリッド」な受付環境を模索中
私はもともと、遠くない将来には受付の仕事はどんどんIT化していくであろうと考えていました。そしてそれが受付嬢を辞めて起業するきっかけにもなりました。しかし受付のIT化が、AIやロボット化ではなく、まさかウイルスが理由で進むとは思ってもいませんでした。
受付嬢という仕事を誇りに思い、素晴らしい職業であると考えているからこそ、「彼女たちも輝けるシステムを」と思い、RECEPTIONISTを世の中に送り出しました。彼女たちの仕事を全てIT化するのではなく、ITと有人の「ハイブリッド」で行える受付環境の構築にこれからますます注力していきたい気持ちでいっぱいです。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら