今週、ミラノ市内でコミュニケーションをビジネスとする会社において、社長から次のような話を聞いた。
「パンデミックによってリアルなイベントができなくなった。それらがオンラインに移行している。それでオンラインのセミナーなどを実施しているが、驚くほどライブ視聴者が少ない」
パンデミックで封鎖生活を余儀なくされた当初(ミラノでは3月中旬にあたる)、その時は自宅にいる人の時間の使い方がまだ定まっていなかったからか、オンラインイベントにそれなりに飛びついた。
しかし、それから3カ月を経て多くのオンラインイベントが溢れるようになった今、スタート時刻が定まったイベントに「自分の都合を合わせる」のは億劫と感じる人が増えた、というのが冒頭のセリフから裏付けられる。そして、次のような言葉が続く。
「録画の視聴は順調に伸びていく兆候があるので、コンテンツの質が悪いということではないと確信している」
言ってみれば、テレビ番組の視聴パターンと近くなってきたのだ。「テレビの番組時刻に合わせて生活なんかできない!ネットの世界は自由だ!」と散々声をあげてきた人たちが、テレビとまったく同じ思考の罠に嵌っていたことにぼくは興味をもった。
なぜ、自分たちが行うイベントはライブに意味があると思ったのか?オンラインイベントを見ながらチャット参加が可能なケースも多い。それに対して画面の向こう側からフィードバックがくるのは確かに楽しい。