ブランドウォッチング

伊藤忠でアルマーニを扱った男の「日本推し」百貨店 伝統はもっと輝ける

秋月涼佑
秋月涼佑

 “日本”にこだわったセレクトショップ

 そんなとき日本のモノ、日本のモノづくりにこだわったセレクトショップ「日本百貨店」を知りました。元々伊藤忠商事でアルマーニなどイタリアの高級ブランドの輸入を担当していた鈴木正晴代表が、日本の製品の素晴らしさも世界に広めたいと思い立ち上げたお店だとのことです。文化の香りするお店作りで世界的に評価の高い台湾の「誠品生活」日本進出1号店が入るコレド室町テラスの1階に、日本百貨店 にほんばし總本店が出店されています。

 店内に入ると、まずちょっと東京では見かけたことがないような地方の風土色を感じさせる珍しいお菓子や、調味料などが目に入ります。PLAZAなど海外からの輸入雑貨ショップの日本ローカル版という感じで、それぞれ物珍しくてワクワクします。中には、「天然生コーラ」のようにプチブレイクしている商品もあるとのことです。

 雑貨のコーナーには、手作り感のあるガラスや金属、陶磁器など各地域の作家さんの作品を含めて、それぞれの個性が際立ちます。鈴木代表がこだわってきたダルマも最初はまったく売れなかったそうですが、徐々に売れるようになり今は人気だそうです。モダンなモノトーンのダルマの側面には“cadere×7” 、“rialzarsi×8”と書かれており、なんとイタリア語で「七転び八起き」のことだそうです。その他にも発色の素晴らしく良い天然の傷をも個性として捉えたメイド・イン・ジャパンの豚皮バッグや職人手作りの箒など、楽しいことこの上ありません。

 モノづくりの現場にも新風の兆し

 「やはりイタリア人など欧州人は商売がうまい」と長年欧州のブランドモノの輸入に関わった鈴木代表は言います。日本各地のモノづくりやプロダクトも欧州に負けないものがあっても「頑固」だったり「偏屈」だったりで、「売ってくれなくていい」というスタンスの作り手さえ多いとのことです。

 一方で「世代交代で同じ職人仕事や製品にもまったく違う視点が入ってきた」とも鈴木代表は言います。「しかも一代飛ばしで孫の代が継いでガラリと製品としての鮮度、魅力が輝き始めた作り手も多くいる」とのことです。

 以前本連載でも紹介した「BEAMS JAPAN」も日本のプロダクトの良さ面白さを今発信しようというものでしたが、日本全国いまだに自分の足で「人間が好き」と作り手との関係性を築きながら目利きをしていく鈴木代表ならではの現在進行形の肌感覚も、まだまだ日本各地には紹介すべき素敵な商品がたくさんあるということなのです。

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