世界を席巻するジャパニーズホラーの旗手 「犬鳴村」清水崇監督が見せる自信
「邦画の製作日数はハリウッド映画に比べて短いといわれていましたが、実際、そうではないことが分かりました。米国では朝から夕方まで、と一日の撮影時間が制限されています。一方で、日本では徹夜での撮影も珍しくない。結局、通算すると撮影時間はあまり変わらない」と苦笑しながら、日米の製作スタイルを説明する。
こうして習慣や文化の違いに戸惑いながら完成させた米国版「THE JUON/呪怨」は、2004年に公開され、米国中で大ヒット。日本人監督による実写映画として、初めて全米興行成績初登場1位に輝くという快挙を成し遂げた。さらに、2年後、続編の「呪怨/パンデミック」も1位を獲得。
映画の本場、ハリウッドで認められた「呪怨」シリーズによって、ジャパニーズホラーは世界で通用することを証明したのだ。
日本伝統の恐怖へのこだわり
清水監督の新作「犬鳴村」は、福岡県に実在する心霊スポットをモチーフに作られている。
突然、兄が行方不明になるなど、臨床心理士、森田奏(三吉彩花)の周りで奇妙な出来事が相次いで起こる。事件の共通点は、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」だった…。
この土地にまつわる史実や伝説。そこに心霊スポットならではの噂話や都市伝説なども加えられた物語は、じわじわと見るものを恐怖の世界へと誘う。
近年の派手なハリウッドのホラー大作のような、たたみかけるように間髪なく恐さを突き付けてくるスピーディーなテンポとは明らかに違う。
「あえてハリウッドホラーの得意な、キレのあるカット、スピード感ある映像で展開させていく映画にはしませんでした」と清水監督は打ち明け、こう説明を続けた。「むしろ、ジャパニーズホラーという言葉が生まれた当時の、古くさいイメージを意識して撮りました」
作家、横溝正史原作で、探偵の金田一耕助が登場する傑作「犬神家の一族」を強く意識したとも。そんな清水監督の思いが、映画の題名「犬鳴村」にも現れている。
新たな海外展開へ
ジャパニーズホラーの世界進出は、新たな展開を迎えている。
昨年10月、中国で開催された「平遥国際映画祭」に、映画「犬鳴村」が日本から招待され、上映されたのだ。
「日本のホラー映画が、映画祭とはいえ、中国の映画館で上映されることなど、まさか想像もしていませんでしたからね」と、同映画祭に招かれ、記者会見にも出席した清水監督は語る。