目が離せぬ日本酒海外進出の旗手
成功の出発点においてはマーケティング的なアプローチではなかったかもしれませんが、その後の「獺祭」のマーケティングはブランドの成長を加速させました。例えば、昔からある「にごり酒」をその発泡感にフィーチャーして「獺祭スパークリング」としてラインアップしたことは、折からのシャンパンやスプマンテ、フランチャコルタなど発泡するお酒ムーブメントなどとも共鳴し、日本食に限らない高級店で提供されるなど、プレミアムブランドとしての地位を確立するのに大きく貢献しました。
また世界観を訴求する、直営店獺祭ストアを銀座、博多、岩国本社の日本国内だけでなく、パリ、高雄、上海などに展開するなど、マーケットを世界に求め意欲的です(本記事のために銀座ストアや百貨店の売り場を見て回りましたが、国籍を問わず大人気であることを肌で感じました)。
折からの世界的な日本食ブームとあわせて日本酒が世界で楽しまれるお酒になるチャンスがきています。「獺祭」は、料理大学として有名な米カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカと提携し、ニューヨークで獺祭と別ブランドの日本酒生産を準備していると聞きます。日本酒海外市場での躍進への旗手としても目が離せません。
そして何よりこのお正月、我々日本人自身が日本酒を再発見する良いチャンスに違いありません。この機会にJapanese Sakeを心置きなく楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら