実力がみえてきたときのマウンティング
会社に勤めていると、上下関係なく新しい仲間が入社してきます。最初はお互い様子を見ながらコミュニケーションをとりますが、お互いの実力が見えてくると人によって差が出てくるようです。自信がある人は当初と変わらず、丁寧に接する態度をとる傾向にあります。しかし「自分よりも相手の実力が上かもしれない」または「社内での貢献度が足りないかも」と感じる人はそれを隠すために、態度に変化が出る傾向があります。ビジネス上全く意味のない「マウンティング」をして自分の優位性を示そうとするのです。
自信があればあるほど相手を受け入れようとする態度をとることができます。一方、自信がない人ほど「自分の陣地に入れない」「ポジション取りをしようとする」と感じます。これは結果的にその人自身の評価を下げることにつながりやすいと思います。受付嬢時代からそのようなシーンに遭遇していたので、「自分はそうならないように気をつけなければいけない」と思っていました。そして、そのようにマウントを取ろうと人がいたら、齟齬が生まれないように丁寧なコミュニケーションを心がけるようにしています。
ロジカルではない“ロジカル風”発言
私の周りにいる「自信がある人」を考察した結果、「自信のある人」「ない人」それぞれに見出した傾向があります。
本当に自信がある人は、「知らないことは知らない」とはっきり言いますし、その次に必ず「教えて」「なんで?」という発言が続きます。自信がある人は素直にそうやって言えるから知識が増え、それが自然と自信につながっていくというサイクルができているのだと思います。一方、自信がない人ほど「知らないことを悟られまい」と知ったかぶりをしてしまう傾向があるように感じます。
自信のない人はその延長として、仕事上でも“自信がある風”や“知識がある風”に装いがちで、そのために“ロジカル風”な発言をするのです。しかしロジックというのは、ちゃんとそのロジックの根本を理解していていない限り、一つでも突っ込まれると説明ができなくなるという事態に陥ります。ただの“ロジカル風”では結果的に自分が恥をかくという裏目に出てしまうことになるので、本当にロジックを理解して発言しているのか否かを常に注目するようにしています。
すべての物事を“ロジカル風”に言えば説得力をもつと思うのは間違いです。私も、ロジカルに説明するほうが効果的な場合と、シンプルに説明したほうが伝わる場合とで使い分ける意識をしています。
堂々と振る舞うこと≠自信満々に接すること
私が日頃意識しているのが、「堂々と振る舞うこと」と「自信満々に接すること」は違うということです。経営者という立場柄、自信を演出する必要がある場合も自信をアピールすることより、堂々とすることを意識しています。言葉で表現すると微細なニュアンスのように思えますが、相手に与える印象は大きく違ってくると思います。商談の最中に自信のなさそうな態度でいられると「この人に発注して大丈夫だろうか!?」と不安にさせてしまい、商談がうまくいかなくなってしまいますが、逆も同じで「根拠がみえない自信」も不安になります。堂々、そして素直さと謙虚さ。これがビジネス上のコミュニケーションを円滑に進めるポイントのように思います。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら