副業をする人が増えている。どのレベルの副業から税務申告が必要なのだろうか。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は、「年間の所得金額が20万円を超えると確定申告をしなければならず、それを怠ると税務調査に入られることがある。特に63万円以上になるとその可能性は高くなる」という--。
副業が解禁されても税金問題はつきまとう
サラリーマンの副業が解禁されて久しい。副業と検索してみると、いろいろな職業が出てくることからも明らかだ。
そもそも、副業はなぜ解禁されたのだろうか。企業側が、社員に対して残業代を支払うことを嫌がってのことだと思うと合点がいく。一方、社員の側は、「会社に文句を言われることなく、自由に稼ぐことができる」ということで、一気に副業ブームのようになっているのだろう。
本業があって副業もしようという人の目的はなんだろうか? もちろん、稼ぎを増やしたい、儲けたいというのが一番の理由だろう。でも、その副業は本当に儲かっているのか。そのあたりの検証はできているのだろうか。
日本では、「儲かったら税金を払いましょうね!」という法律がある。所得税法だ。
ギャンブルでぼろ勝ちした場合もしかり、道に落ちているお金を拾った場合もしかり。宝くじが当たった場合は、非課税所得にうたわれているので、課税されることはないが、これはこれで、違った不幸に見舞れることもある。まあ、“あぶく銭”は身に付かないという典型だろう。
副業が解禁される前から副業をしていた会社員は、こそこそしなくても副業をできることになったので、会社に対するうしろめたさはなくなったと思う。でも、ここで免れないのが納税だ。
「月当たり16,666円以上」が「申告ライン」
副業はいくら以上儲かったら申告をしないといけないのか。所得税法では、本業が会社員である場合、それ以外の所得金額が年間20万円を超えれば、確定申告をしなければならないとなっている。
年間20万円を月額にしてみると、16,666円。どうだろう。あなたの副業の1カ月あたりの儲けは、16,666円以下だろうか?
「会社員の副業なんてかわいいもんで、税務署はそんなことまで調べたりしないんじゃないの……」とたかをくくっていると、税務署から手紙が届くかもしれない。
税務署からの手紙を無視するとどうなるか
税務調査の最盛期は、ナナジュウニと言われている。ナナジュウニとは、7月から12月にかけての期間のことだ。ちょうど今の時期だ。
国税の事務年度は、7月から始まる。国税の世界では、7月から12月を「ナナジュウニ」、1月から確定申告の前までを「カクシンマエ」、確定申告の間を「カクシンキ」、確定申告が終わった3月末までを「キゲンゴ」、4月から6月を「ヨンロク」と呼んだりしている。
何事も前倒し。7月から12月の期間は、事務年度の始まり、調査官のメンバーも一新。その上、期間も4カ月と長い。追加の税金がとれそうな案件から税務調査に着手するという風潮があることから、ナナジュウニは大口案件を手掛けることが多いのだ。
一般的に税務調査は、担当の調査官が調査対象者に電話をすることで始まる。税理士が入っている場合は、税理士に電話をする。
では、副業のような案件はどうやって税務調査の連絡をするのか。副業で稼いでいるにも関わらず、申告をしていないような場合。副業を行っているものに本業があることは、税務署も承知している。なので、まずは、自宅に手紙が届くのだ。普通郵便で……。