寄付集めを重視する姿勢が強すぎる
最近、“ふるさと納税”の返礼品が過度になっているとの批判を耳にする。一部で、行き過ぎた返礼品が提供されるケースが出ているようだ。監督官庁である総務省も、返礼品の一部に問題は発生しているとの認識を示している。
そうした批判もあり、6月以降、静岡県小山町、大阪府泉佐野市などがふるさと納税への参加を認められなくなった。一部の自治体では、寄付集めを重視する姿勢が強くなりすぎ、“ふるさと納税”本来の趣旨が見落とされてしまった。すでに泉佐野市は総務省と法廷で争う構えを示している。
ここで政府・納税者・自治体は、ふるさと納税制度の本来の趣旨に立ち返らなければならない。同制度の最も重要なポイントは、各自治体が地元企業などと連携してその魅力を高めてふるさと納税を呼び込み、地方経済の活力向上につなげることだ。政府は、本来の趣旨にもとづいたふるさと納税を目指して、関係者にていねいな説明を行い十分な理解と納得を得る必要がある。
“ふるさと納税”の本来の意義
ふるさと納税には、国という行政システムに頼らず人々の自由な意思にもとづいて、地方自治体に財源を再分配するという機能がある。それは、自治体、各地の企業、納税者の3者にとって利得(メリット)があるはずだ。
ふるさと納税では、納税者が自分の応援したい自治体に寄付を行う。自分が生まれた地域でもよいし、自然災害に見舞われた地域、あるいは魅力的な物品が生産されている地域など、どの自治体にふるさと納税を行うかは個人の判断次第だ。
各自治体がふるさと納税を通して財源を確保するには、その地域の魅力を高め、磨き、発信しなければならない。ふるさと納税には、各自治体がみずから新しい発想を取り入れ、創意工夫の発揮を目指す呼び水となる可能性がある。
その地域に魅力を感じ「応援したい」と思う人は寄付を行う。この納税者は、住民税などの控除を受けることができる。それに加え、特産品などを“返礼品”として受け取ることもできる。これは、納税者にとって大きなメリットだ。