ビジネストラブル撃退道

台風直後の駅に列 災害時は「出社せねば」という無駄な使命感を捨てよ

中川淳一郎
中川淳一郎

 台風15号が千葉県を中心とした関東地方を直撃した時、各地で電車に乗るための列ができ、特にJR津田沼駅の行列はツイッターのトレンドワード1位になるほどだった。この時に思ったことは「私がいなくても誰も死なない」となぜ人々は理解しないのか、ということである。

 あの日、多くの真面目な人々は会議に遅れないために、何らかの「立ち合い」をすっぽかすわけにはいかない、とばかりに電車に乗ろうとした。いや、災害が発生した場合は1万人規模の観衆が参加するバンドのコンサートでさえ、延期や中止となるではないか。会場費をどうするかの問題はさておき、その場に行けない観客は振替チケットが出るのであればむしろその方がありがたいだろうし、仮に負傷者や死者が出てしまった場合はコンサートを強行したことにより主催者が批判を浴びることだろう。

 「抗えない」と諦める

 ビジネストラブルの回避術において基本的に考えなくてはいけないのは「これはしょうがない。どう足掻いてもこの状況は抗えない」と諦めることである。もちろん最大限の努力は必要だが、往々にして今回の津田沼の大行列と同様にトラブルというものは、「誠意を見せる」「最大限努力はした」という根性論を皆が発揮したために発生することがある。

 大事な会議があったとしても、それはそれで後でやればいいではないか。誰かの命にかかわるような手術であれば、それは大震災の際にヘリコプターを使ってまでもなんとかしなくてはならないかもしれないが、ここまでの事態というものは常人ではめったにないものである。あとはインフラ系の人々については、復旧のためにその人が動きやすくする必要はある。

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