今日から使えるロジカルシンキング

高島屋のとなりに高島屋の理由 「勝負どころ」の見極め方

苅野進
苅野進

第10回 「服屋」をVC分析

 子供にロジカルシンキングを教える学習塾ロジムの主宰・苅野進が、SankeiBiz読者のみなさんに、ビジネスパーソンにとって重要なスキルであるロジカルシンキングの基本スキルを伝える本連載。今回はケーススタディとしてこれまで紹介したスキルを実際の事例に当てはめて考えてみます。

 「服屋」と聞いて、一番最初に想像するのはどのようなお店でしょうか。5人ほどでランチを食べている時に聞いたところ、「ユニクロ」が一番に挙がりました。ユニクロはビジネス形態としては「SPA(製造小売)」と呼ばれています。

 かつて服屋(アパレル)といえば、いろいろなメーカーが作った服を卸売業者から買い取って、販売するスタイルが一般的でした。ユニクロは、そこで企画・製造を自社で行うようにしたのです。フレームワークのひとつであるVC(バリューチェーン)分析で整理してみると次のようになります。VC分析は本連載の第5回「モレなく考える<応用演習>」で紹介しました。

 このように企画・製造までを手がけることによって自社企画でニーズを反映した商品を素早く開発できたり、利益率を改善できたりという利点があります。このような展開をしているブランドとして、GAP(ギャップ)やZARA(ザラ)などがすぐに思いつくのではないでしょうか。

 一方、従来の服屋としては「百貨店」も挙げられます。三越、高島屋、伊勢丹などですね。こちらは、国内外のメーカーから服を買い取って販売しています。こちらも従来型の服屋と同様、価格帯や顧客の高齢化などで苦戦が伝えられています。

 そんな中、日本で最古参の百貨店である高島屋の日本橋店が2018年9月、これまでの建物の真横に7階建ての新館をオープンさせました。閉店のニュースがよく聞かれるようになっている百貨店業界で、リニューアルではなく新館オープンはなかなかの「攻めの経営」です。

 新館を含めて、あらたに「日本橋高島屋S.C.」と名付けられています。S.C.とはショッピングセンターのことです。これは、若い人を狙った横文字ネーミングというわけではありません。百貨店とショッピングセンターには大きなビジネス上の違いがあるのです。

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