元受付嬢CEOの視線

受付嬢が自動受付をつくる 私は自分の仕事を自ら奪ってしまったのか

橋本真里子
橋本真里子

 この2つに共通することは、「受付におけるエンターテイメント性」だと思います。例えば、ペッパー君が企業受付にいる場合は、受付には内線電話が併設されていることがほとんどです。となると、ロボットが受付をしているわけではなく、「受付に花を添えている」と表現するほうが正しいかと思います。

 変なホテルのような受付もエンターテイメントとして体験してみたいと思います。しかし、接客のプロであるスタッフに隅々まで行き届いたサービスを期待するようなホテルではまずあのような受付は広がることはないと思います。それは人が「おもてなし」という見えないものに価値を感じてお金を払うからです。

 企業受付にも同じことが言えると思います。私は受付嬢をやりながら、将来自分の仕事がなくなると感じたことはありませんでした。数は少なくなることは確実だと思いましたが、全くなくなるとは今も思っていません。

 「でも、受付システムって受付嬢の仕事を奪うツールじゃないの!?」という質問が聞こえてきます。それはこの後にお話しさせていただきます。

私たちの会社が本当になくしているものとは…

 私が受付システムを作ることでなくそうとしたもの、それはズバリ「ビジネス上の非効率なコミュニケーション」です。

 私が受付嬢だった時、やはり内線電話で来客の取次を行なっていました。来客のたびに担当者に電話をかけ、しかしアポが多い人ほど忙しくて席にいない。となると、近くの席に座っている人が代理対応で内線に出て、担当者を探し回る。せっかく集中していたのに、来客の取次の内線に出るたびに業務を中断し、5分~10分奪われてしまう。これってとても非効率だと思いませんか?

 一方、私たち受付嬢はどうだったかというと、取次業務があるためにカウンターを離れることができなかったのです。受付嬢は取次以外にも実は様々な業務を担っています。おもてなしするという意味で、本当は人が対応したほうがいい「ご案内」「お茶出し」「会議室の整理整頓・予約調整」また、「社員の対応」にもっと時間を使いたいと思っていました。しかし私たち受付嬢が席を外してしまうとお客様は受付ができない状況になってしまいます。取次に関しては、システムで自動化してくれたほうが受付嬢の仕事の幅や質は上あげられると常々思っていました。さらに来社された方の履歴も自動で蓄積することが可能になります。

 現場にいながらこのような不便さを感じていたので、それを解決すべく起業し、サービスを作ったのです。私が作ったサービスが広がれば、受付嬢はもっと輝ける。今、私たちが削っているのは、受付嬢の価値ではなく「非効率な取次業務」なのです。

自分の仕事がAIに奪われるかも!?

 今、あなたが担当している業務は近い将来、AIなどに奪われると感じたことありますか?

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