東京商工リサーチ特別レポート

西武信金の闇、反社会的勢力との接点 資金繰りに怯える全国1万社

東京商工リサーチ

 西武信用金庫が業務改善命令を受けた。「反社会的勢力との関係を指摘されたが十分確認しなかった」(金融庁)ことなどが理由で、代表理事らが辞任。全国で1万社近い取引先は中小・零細企業が中心で、西武信金の態勢強化や経営陣の変更による方針の変更が、取引先の資金繰りに影響が出ないよう配慮が求められる。

 5月24日、金融庁は西武信金に対し、業務改善命令を出した。昨年11月から今年4月の立ち入り検査などで、西武信金が業績を優先し管理態勢を怠っていたことや、反社会的勢力との関係が疑われる企業と個人への融資などが判明した。

偽造された融資資料を見過ごす

 金融庁は同日の会見で、「西武信金の職員が(業者による)融資審査の書類の偽造を看過したことや、監事(監査)から反社会的勢力等の関係を指摘されたが十分に確認しなかった」ことなどを処分理由にあげた。

 金融庁が公表した西武信金に対する業務改善命令は、(1)責任の所在の明確化、(2)信用リスク管理態勢の強化、(3)反社会的勢力等の排除に向けた管理態勢の抜本的な見直しの3点。改善計画を6月28日までに提出するよう求めた。行政処分を受け西武信金は、落合寛司理事長ら代表理事2名と常勤理事1名が辞任したことを発表した。

 金融庁は、投資用不動産向けの融資に当たり、「融資資料の偽装や改ざんの疑いのあったのは127件。実際に偽装や改ざんがあったのは73件。偽造に(西武信金の)職員が関与した事実は認められない」と説明した。

 投資目的の賃貸用不動産向け融資では、耐用年数を検証する外部専門家に対して「職員が耐用年数などの調整を指示したのは258件だった。単純計算で全体の1割程度」(金融庁)と高い割合で不動産鑑定士などに耐用年数などの調整を指示していた。

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