靴に装着したナビで視覚障害者を支援
視覚障害者が安心して街歩きを楽しめるように、靴装着型のナビゲーションシステム「あしらせ」を提供しているのが、ホンダからの第一号スタートアップであるAshirase(東京都西東京市)です。靴の甲と外側、かかとの部分に振動インターフェースがあり、デバイスが立体構造になって振動を与える仕組みのため歩行の邪魔をすることがありません。ターゲット層は先進国で1200万人と少ないですが、ハードウエアを売り切りにしてアプリを定額化するというSaaSモデルで対応します。
即座に自動化対応が可能なソフト
AI開発統合ソフトウエアの「MENOU-TE(メノート)」を展開しているのはニコン発のMENOU(東京都中央区)です。製造業は自動化が進んでいますが検査工程は目視検査がメーンです。しかし、メノートを活用すればノーコードで検査に使える高度なAIを開発できるため、どのような検査に対しても即座に自動化対応が可能になります。ディープラーニングには数千枚から数万枚の学習画像が必要と言われますが、製造業検査に特化しているため20サンプル未満でも学習可能です。
ビデオを手軽に作成できる360度カメラ
ベクノス(横浜市西区)はリコーの100%出資子会社です。販売しているのはペンのようなスリムなデザインの360度カメラ「IQUI(イクイ)」で、2020年度グッドデザイン賞ではグッドフォーカス賞を受賞しました。手軽に楽しいショートビデオを作成し、SNSに投稿できる点が売り物です。また、特定イベントなどとの連携も可能で、ショートビデオをゲストのスマートフォンに送信したりゲストにIQUIを貸し出したりすることで、イベントや観光地の盛り上げに活用できます。
脳波で以心伝心
CyberneX(東京都大田区)は富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)からのスピンアウトで、同社から技術と特許を買い取る形で創業しました。脳波を含む微小電位を、耳から計測可能なイヤホン型のデバイスによって医療用の脳波系と相関性の高いデータを高精度で入手できる点が特徴で、「以心伝心コミュニケーション」というミッションを実現します。ヘルスケアやウエルネス領域への活用だけではなく、新たなエンターテインメントの創出や消費者意識・行動の把握などへの活用も期待されます。
商用生産にも対応可能な光成形
小ロットの生産法として3Dプリンターや切削加工を活用するケースが増えていますが、商品として出すには品質が十分ではなく使える材料も限定されているという課題があります。JSRからカーブアウトしたmicro-AMS(川崎市幸区)が保有する光成形という技術は、ゴム型にプラスチック材を入れてマイクロ波を照射し、冷却することで生産が可能です。品質も高く施策から商用生産に至るまで、一気通貫で担うことができます。
日本では知財の大半を大企業や中小企業は保有しています。技術系ベンチャーの誕生を後押しするポテンシャルは大きいと言えるでしょう。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら