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自動車新市場の原動力 モビリティ系ベンチャーがパラダイムシフトの主役に

ゼン・ティン
ゼン・ティン

 車窓がテレビに

 Laura(東京都豊島区)は車の窓がテレビになるメディアサービス「CarWindow」を提供しています。具体的には車内に専用のプロジェクターを実装し、窓にはナノ粒子の特殊加工を施すことによって、車外からはテレビのように動画を楽しむことが可能です。現在は乗客がいない時に広告を投影しており、乗車中は通常時と同じ窓ガラスとして活用できます。タクシーの車内広告が注目されていますが、同社のサービスを活用すれば車体の外部は新しい広告媒体となります。

 自動運転向けAIソリューション

 コーピー(東京都文京区)は、AIを本格導入する際のボトルネックとなるAIの説明可能性(XAI)や品質検証(QAAI)に取り組んでいます。モビリティ領域では、CG技術を活用した自動運転向け学習用画像データの生成や、画像データを音声で検索可能なマルチモーダル検索機械学習システム、路上物体検出システムの提供及び品質管理フローの検証等を手掛けています。

 電動キックボードで2兆円市場見込む

 電動キックボードシェアリングサービスで世界トップの「BIRD」が日本市場で事業を展開するにあたってのパートナーがBRJ(東京都渋谷区)です。電動キックボードは規制緩和が順次進んでおり、将来的には免許不要で自転車のように乗れるようになることが予想されています。同社はマイクロモビリティの市場規模が路線バス市場規模を上回る約2兆円の市場に拡大すると予想しており、シェアポートの開拓などに力を入れます。

 災害時には電源車に

 EVモーターズ・ジャパン(北九州市若松区)は、バッテリー技術を活用した“走るだけでないEV”を目指しています。自社開発のEVバスでは、ディスプレー、フレキシブルソーラーなどを搭載。バッテリーは耐久性に優れ8年以上は交換が不要です。1回の充電によって最長230キロの走行が可能で、災害時などには電源車にもなります。日本で初めてとなる商用EVの量産工場の建設も視野に入れています。

 1000キロ離れた場所からドローンを操縦

 トラジェクトリー(東京都中央区)は独自に開発したナビゲーションAIと高精度の3D地図を活用したリモートコントロールによるドローン飛行の自動化を実現しています。コントロールセンターにいながら、複数機のドローンを同時にリモートで操作することが可能で、1000キロ以上離れていても操作できます。自治体向けには災害発生時の初動対応、民間企業向けではモニタリングや物流領域での協業に力を入れます。

 世界では自動運転技術の開発競争が繰り広げられています。日本でも2025年度までに40カ所以上の地域で、無人自動運転サービスを実現する計画を進めておりモビリティ系ベンチャーの新しい技術が活躍しそうです。

清華大学・経営工学→東京大学・技術経営戦略学。トヨタ生産方式をはじめ日本的経営に興味があり来日。前職では官公庁・自動車メーカー向けにAI、自動運転、シェアリング、コネクテッド等の次世代モビリティ関連の技術戦略プロジェクトを経験。現在は大企業向けのオープンイノベーション、スタートアップの海外進出等を担当。「人工知能の未来2016-2020」(EYアドバイザリー著、日経BP社出版)の執筆に参画

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

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