ビデオ会議の顔や声をAIで分析
非対面時代のコミュニケーションとしては、社内SNSやビジネスチャット、タスク・プロジェクト管理などコミュニケーションツールの導入が加速する中、ビデオ会議での顔や声の映像・音声情報をAIで分析するツールが、これまで見えなかったコミュニケーションを定量的に可視化するという理由で注目を集めています。
経営データの連携が課題
最後にHR領域の課題について検証します。人事業務の部分ごとに行われる工程の自動化やデータ収集の大半の部分は対応できるようになりました。今後は戦略人事の実現に向けて、HRだけではない経営データとの連携基盤の構築、分析が重要になってくるでしょう。
こうした動きを踏まえ今回はCOVID-19を追い風に業績が好調に推移している5社を紹介します。
ゲームで経営視点を学ぶ
経営に不可欠な視点を体感で学ぶボードゲーム型ビジネス研修サービス「Marketing Town」を提供しているのがNEXERA(東京都渋谷区)です。受講者が仮想の街の経営者となり、営業利益の最大化を目指します。例えば財務分野では、貸借対照表や損益計算書をゲーム内で完成させるなど、実務に即した内容を学べます。また、講義内容はゲームと紐づいており、講義によるインプットとゲームによるアウトプットの繰り返しを通じ、高い学習効果を目指します。
オンラインのイベントスペース
Bizibl Technologies(大阪市北区)は、貸会議室などに代わる次世代のオンラインイベントスペース「Bizibl」を提供しています。画面はイベントごとに最適化しており、登壇者と参加者の明確な違いや、うなずきや笑いをリアルタイムで判別できる機能を導入したほか、投票やアンケートを通じ能動的に参加できるようにしました。業務の円滑化を実現するため、オンライン上で告知や開催、振り返りを可能にします。
客観データで心理状態を解析
Boulder(東京都港区)は従業員の心理状態を客観的行動データから容易に読み解くプラットフォーム「Well」を提供しています。主観的だった従業員の就業アンケートからではなく、Slackなどの社内コミュニケーションツールから得られる客観的データに基づき、従業員のコンディションを解析し「仕事にやりがいを感じ熱中して取り組めているか」などを可視化します。将来的にはメンタルの不調や離職予測についても一目で分かるようにします。
リファレンス特化のSNS
リファレンス(推薦)チェックに特化したビジネスSNSを展開しているのがParame(パラミー、東京都新宿区)です。企業が採用の際に、その候補者をよく知る前職の上司などへ面接だけでは把握できない候補者の性格や業務中のエピソードを、オンラインで質問できるサービスです。これによって人材のミスマッチなどの課題を解決します。推薦状のデータは候補者のアカウントへ蓄積され、信用補完としての再活用が可能です。
仕事と介護の両立を支援
リクシス(東京都港区)は、仕事と介護の両立を支援するクラウド「LCAT」を提供しています。従業員が介護にかかわるリスクを調査して、個々のリスクを低減させるラーニングコンテンツを自動的に届けるシステムで、診断結果は管理画面のダッシュボードを通じ確認できます。LCATを2年継続した企業では、「介護をしながら今の仕事は続けられないと思う」と回答した従業員の数が3分の1になるなど効果が表れています。
これから本格化するデジタル時代では優秀な人材の確保に加え、従業員にやりがいのある仕事や満足度が高い職場環境を提供する、戦略人事をサポートするサービスの需要が高まるでしょう。HR系ベンチャーの活躍の場は広がるとみられます。
【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら